次の表は2004〜2010年度の経営データだ(銚子電鉄提供)。ブームが沈静化した後も、鉄道事業の赤字を、ぬれ煎餅の製造・販売を中心とする副業の利益で補てんし、黒字を出すという経営構造がしっかり定着していることが分かる。
2004年度 | 2005年度 | 2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | |
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全体売上 | 3億3487万 | 3億1461万 | 4億3542万 | 5億8713万 | 5億7336万 | 5億1084万 | 4億6004万 |
全体利益 | 2838万 | −544万 | 3331万 | 9812万 | 960万 | 1018万 | 276万 |
鉄道部門売上 | 1億1037万 | 1億1446万 | 1億2914万 | 1億6288万 | 1億5023万 | 1億3434万 | 1億1298万 |
鉄道部門利益 | −2476万 | −3939万 | −5965万 | −1740万 | −8741万 | −9549万 | −7542万 |
副業部門売上 | 2億2450万 | 2億14万 | 3億627万 | 4億2425万 | 4億1235万 | 3億7650万 | 3億4705万 |
副業部門利益 | 5314万 | 3394万 | 9296万 | 1億1552万 | 9702万 | 1億568万 | 7818万 |
「全国のローカル線は定期乗車比率が下がり過ぎて、どこも経営難に陥っており、黒字を出し続けているのは、弊社を含めて数社だけなんですよ」と、小川さんも胸を張る。
それにしても、社業を支え続けるぬれ煎餅とはどんなものなのか? 私も、今回、初めて「青のうす口味」というのを食べてみた。ちょっとグニャッとした独特の歯応えだが、醤油の焼けた香ばしい風味と、カツオ出汁のうま味がストレートに伝わってきて、これは確かにクセになる味かもしれないと思った。
しかし、鉄道事業が本業であるはずなのに、ぬれ煎餅の製造・販売が主力事業ということに戸惑いを隠せない人の数は多い。
「『鉄道会社のくせに煎餅なんか売っているから赤字が消えないんだ』と言う人もいるんですよ」と小川さんは苦笑するが、同社の特異な経営構造の秘密は、実は小川さん本人の意外な過去に由来しているようだ。
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