「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」の銚子電鉄は今どうなっているのか?嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(2/6 ページ)

» 2011年10月07日 08時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

鉄道事業の赤字を副業のぬれ煎餅販売の黒字で補てん

 次の表は2004〜2010年度の経営データだ(銚子電鉄提供)。ブームが沈静化した後も、鉄道事業の赤字を、ぬれ煎餅の製造・販売を中心とする副業の利益で補てんし、黒字を出すという経営構造がしっかり定着していることが分かる。

銚子電鉄の業績推移(単位:円)

2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
全体売上 3億3487万 3億1461万 4億3542万 5億8713万 5億7336万 5億1084万 4億6004万
全体利益 2838万 −544万 3331万 9812万 960万 1018万 276万
鉄道部門売上 1億1037万 1億1446万 1億2914万 1億6288万 1億5023万 1億3434万 1億1298万
鉄道部門利益 −2476万 −3939万 −5965万 −1740万 −8741万 −9549万 −7542万
副業部門売上 2億2450万 2億14万 3億627万 4億2425万 4億1235万 3億7650万 3億4705万
副業部門利益 5314万 3394万 9296万 1億1552万 9702万 1億568万 7818万

 「全国のローカル線は定期乗車比率が下がり過ぎて、どこも経営難に陥っており、黒字を出し続けているのは、弊社を含めて数社だけなんですよ」と、小川さんも胸を張る。

 それにしても、社業を支え続けるぬれ煎餅とはどんなものなのか? 私も、今回、初めて「青のうす口味」というのを食べてみた。ちょっとグニャッとした独特の歯応えだが、醤油の焼けた香ばしい風味と、カツオ出汁のうま味がストレートに伝わってきて、これは確かにクセになる味かもしれないと思った。

銚子電鉄のぬれ煎餅、青のうす口味(出典:銚子電鉄オンラインショップ)

 しかし、鉄道事業が本業であるはずなのに、ぬれ煎餅の製造・販売が主力事業ということに戸惑いを隠せない人の数は多い。

 「『鉄道会社のくせに煎餅なんか売っているから赤字が消えないんだ』と言う人もいるんですよ」と小川さんは苦笑するが、同社の特異な経営構造の秘密は、実は小川さん本人の意外な過去に由来しているようだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.