技術革新のスピードが上がり、経済のグローバル化も進む中、日夜、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き、どんなことに注目して、事業を運営しているのでしょうか。「リーダーは眠らない」では、さまざまな企業や団体のトップに登場していただき、業界の“今”を語ってもらいます。
インタビュアーは戦略経営に詳しい嶋田淑之氏。徹底した聞き取りを通して、リーダーの心の内に鋭く迫ります。
2006年11月、深刻な経営危機に陥り、「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という前代未聞のフレーズをWebサイトに掲載し、副業で製造販売している「ぬれ煎餅」の購入を広く呼びかけた銚子電気鉄道(以下、銚子電鉄)。
2ちゃんねらーを始めとするネットユーザーの間でそれが話題となって、2週間で1万件もの注文が殺到。さらには、その動きに目をつけた旅行代理店による、(銚子電鉄に乗ることを目的とした)バスツアーが続々企画され半年足らずで10万人を集めるなど、2006年から2007年にかけて、銚子電鉄は、日本全国で大きな話題になった(参照記事:「ネットで『銚子電鉄を救え』 名物『ぬれ煎餅』に注文殺到」)。
しかし、そうしたブームが沈静化した後は、ネット上で断片的な情報は伝えられるものの、銚子電鉄の経営がその後どういう状況になっているのか、そして今どこに向かおうとしているのかに関して、同社内部からも、まとまった情報はほとんど出てこなかったと言っていいだろう。そこでこのたび、同社社長の小川文雄さん(72歳)に語っていただくことにした。
銚子電鉄は、関東平野の最東端に位置する漁港の町、千葉県銚子市を走る典型的なローカル線である。現在、資本金6910万円で、従業員は27人、保有車両は8両。銚子駅から外川駅まで全長6.4キロの間に10駅あり、平日の運行は基本的に1時間に2本のみ。
1923年の創業以来、銚子市民の足として親しまれてきたが、クルマ社会への移行と、長期的に続く人口減、とりわけ定期乗車(学生・サラリーマンなどの定期券使用)比率の低下で、同社は何度も経営危機に見舞われてきた。
特に深刻だったのが2006年。この時は、前社長が総額約1億1000万円の業務上横領で逮捕されるという事件が発生(後に有罪が確定)。ただでさえ経営環境が厳しい中で、銚子市からの補助金が停止されたほか、金融機関からの融資も凍結されてしまう。
これによって銚子電鉄は、鉄道車両の法定検査すらできないという逼迫(ひっぱく)した資金状況に追い込まれ、冒頭の「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。」という悲痛な叫びになったのである。
そして訪れた空前の“銚電ブーム”。これにより、同社の経営は回復したかに見えたが、今、多くの人が知りたいのは、そうしたブームの後の状況だろう。
2004年度 | 2005年度 | 2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | |
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運送人員 | 65万2172 | 65万3901 | 71万3367 | 82万9793 | 78万1746 | 71万2255 | 61万7146 |
運賃収入 | 1億142万 | 1億250万 | 1億1836万 | 1億4779万 | 1億3828万 | 1億2336万 | 1億501万 |
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