土肥:お話を聞いていると、AKB48を表紙に起用したり、巨人の原監督インタビューを掲載したり、新しい読者の獲得に力を入れているように感じますね。
太田:月刊誌は1年に12冊発行されますが、ここでも編集者が陥りやすいワナがあると思うんです。「ウチの読者は毎号読んでくれている」という思い込みですね。しかし「A君は毎月『smart』を買ってくれている」と思い込んでしまうと、編集者は繰り返すことに恐怖を感じてしまいます。例えば同じ人が出ていたり、同ジャンルの企画を掲載することに。
土肥:やがて同じことを避け始めるということですか?
太田:そうです。この恐怖に取り付かれると、避けて、避けて、避けてしまう。避けてばかりいると、その結果、できた企画の中身はスカスカになりがち。編集部では「もちろん毎号買っていただいている読者もいますが、全読者が12冊すべてを読んでいるのが当たり前ではない」という前提に立ち、企画を練り上げています。
裏原宿がブームだったころに比べ、今の男性は「まず一番に服がほしい」という気持ちが弱くなっているかもしれません。しかし、その代わりに腕時計、靴、カバンなどに興味を持っている人が増えてきています。
服はリーズナブルなものを装い、腕時計は高級なものをつける。腕時計だけでなく、靴やカバンにもお金をかける男性が増えてきました。
編集部では「若い男性の間で、腕時計が注目されている!」という仮説を立て、腕時計の特集を今年は7回も行いました。
土肥:避けることをせず、同じことを繰り返したわけですね。
太田:編集者の立場からすると「年に7回も腕時計の特集を組んでいると、読者はあきてしまうのでは……」と不安になります。しかし考えてみると、その不安に根拠はないんですよ。私は読者が読みたい企画であれば、繰り返し同じ企画を組んだ方がいいと思っています。
腕時計の特集を何度も行っていると、いろいろな“気づき”があります。例えば、今の若い男性は高級な時計からリーズナブルな時計まで、どっちも欲しいという人が多い。これはアンケートからもうかがえましたし、読者調査でも同じ結果が出ました。
土肥:へー。
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