なぜ中国大使館前の抗議は「定員5名」なのかニッポンの紛争地帯をゆく・新連載スタート(2/5 ページ)

» 2011年10月19日 08時01分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

 1時間前、私は「中国建国記念日に合わせた大使館前抗議」の集合場所となっている麻布税務署前にいた。中国大使館前から150メートルほど離れた場所だ。

 人民服姿で「凶惨党」と書いた帽子を被っている男性、「パンダはチベットの動物です!」というメッセージTシャツ姿、チベット僧の姿から和服姿の女性まで、バラエティに富んだ参加者はその数ざっと40人。取材しているメディア、警備にあたる警官や、遠目に監視している私服の公安捜査員も含めると、70人近い集団が集まっていた。

抗議参加者の男性。なかにはこのように素顔NGの人もいる
「夜露死苦」的な当て字だが、意味が通じているだけに関心する

 「あんたも参加すればいいのに。こんな酷い国は世界中見渡したってなかなかないよ」

 大きな日の丸を掲げた男性に声をかけられる。取材なんで、と断ると、彼は中国共産党がチベットやモンゴルの少数民族に対しておこなっている人権侵害についてアツく語ってくれた。

 この抗議の主催者は、モンゴル自由連盟党、日本ウイグル協会、チベット問題を考える会、内モンゴル自民党。協賛は台湾研究フォーラム、南モンゴル応援クリルタイ、そして日本の支援者たちというまさしく「反中」国家そろい踏みという面々である。

 特にチベットといえば、僧侶や住民が起こした暴動を、中国政府が武力鎮圧することが世界的に批判されている。北京オリンピックの際、諸外国が開会式のポイコットを表明したことや、聖火リレーの妨害活動があったことが記憶に新しい。これはなかなか骨太の抗議が目の前で繰り広げられるのではなかろうか。

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