EVのバッテリー交換ビジネスは成功するのか松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年10月21日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 同社の試算によれば同クラスのガソリン車と比較して燃料費は10〜20%割安になるという。2012年4月から毎月500台のフルエンスZ.E.が販売されるようになり、その1年後にはEVの販売数が通常自動車を追い越すというのが同社の予測。なかなか強気の読みと言えよう。

バッテリーユニットの交換(出典:Better Place)
バッテリー充電交換ステーションの模型(出典:Better Place)

大多数が懐疑的

 しかし、ベタープレイスとルノーの目論見とは違い、多数の自動車メーカーはバッテリー充電交換システムに懐疑的だ。まずバッテリーユニットシステムをメーカーの垣根を超えてスタンダード化しなければならないが、バッテリーをEVごとに最適化させて生産しているのが今の状況だからハードルが高すぎる。

 またバッテリーユニットの劣化がどのように進むか、そして安全性と安定性がどれほど確保できるかもよく分からない。また高価なバッテリーユニットを多数用意しなければならないため経済的に成り立たないとの考え方が大半を占めている。

 バッテリーユニットを丸ごと交換するアイデアは全く新しいものではなく、スイスの高級リゾート地ツェルマットではすでに実用化されている(関連記事)。ただし、ここで使用されているのは現在主流のリチウムイオン電池ではなく発展型の鉛蓄電池で、交換は運転手(あるいは作業員)がフォークリフトを使い手作業で行う。また不特定多数が使うシステムではなく路線バス専用であり、バスは数台に限定され、バッテリー交換ステーションも2カ所のみで運用されている。少数の車両が同じようにバッテリーを利用し、バッテリー管理を徹底できる点がツェルマットの利点だ。

 ツェルマットのバッテリー充電交換ステーションを取材した際、驚いたのは充電中のバッテリーユニットの数の多さ。ここのように比較的安価な鉛蓄電池ならともかく、高価なリチウムイオン電池を必要数揃えるのは確かに高くつく。

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