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» 2011年11月02日 08時00分 公開

ものぐさニッポン「メンドクサイ」をビジネスに生かせそれゆけ! カナモリさん(2/2 ページ)

[金森努,GLOBIS.JP]
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メンドクサイを逆手に取り果物復権のチャンス

 10月25日付日本経済新聞の記事によれば、「日本人が1日に食べる果物の量は100グラム強とされ、30年前の6割に減っている」とある。掲載されているグラフを見ると、キレイな右肩下がりを描いている。

 私たちはナゼ、果物を食べなくなってしまったのか。

 記事にはJA総研の2009年の調査結果が掲載されている。「皮をむいたりするのが面倒」54.3%、「手が汚れる・ベトベトする」22.9%など。皮をむくのではなく「種」も問題なようだ。「種があると家族が面倒くさがって食べてくれない。ブドウは買うなら『種なし』」ときっぱり言い切る主婦のコメントもある。やっぱり、メンドクサイのだ。私たちはどれだけモノグサになってしまったのか……。

 ただ、果物に若者が手を伸ばし始め、復権の兆しがあるというのだ。

 記事のタイトルは「果物離れに歯止め? 『皮ごと』『種なし』面倒なし 品種改良で種類豊富に 手伸ばす若い世代」とある。「皮ごと食べられるブドウ」「種のない柿」など、品種改良で店頭に並ぶようになった果物が人気のようだ。ブドウの王様巨峰も種なし。今の時期だとほかには皮ごと食べられるイチジクも人気だという。また、品種改良も進み、甘くておいしいけれどあまりに大きな種にガッカリする「ビワ」も種なしが徐々に増えているという。

 手間なし果物は売れ行きも好調だ。伊勢丹新宿本店では、9月の売り上げが前年対比2ケタ増し。首都圏のスーパー、オリンピックでは種なしブドウが種ありの倍の売れ行きだという。

 品種改良がおいしさの向上だけでなく、昨今の消費者ニーズに対応するようになった「手間なし果物」には今後、さらなる可能性が考えられる。最も果物から離れていると思われる単身世帯の取り込みもしやすくなるからだ。

 記事には「1人暮らしをしているから、食べるのはぱっと食べられるバナナぐらい」(26歳の会社員女性)とのコメントがある。コンビニにも個包装、少量パックの果物も置かれるようになった。コンビニは多少価格が高くても売れるし、何より「果物離れ」したターゲットの目に触れ、認知〜興味を得ることが可能なチャネルだ。マーケティングミックス(4P)の整合性の観点からも期は熟しているといえるだろう。果物復権のチャンスである。

 様々な財・サービスで、「●●離れ」が叫ばれる。マーケティングの定石としては、ターゲットを考え、「購買決定要因(KBF=Key Buying Factor)」をいかに充足するか検討する。だが、Cost of customerの視点から、何が顧客の頭のなかでコストになっているのか、想像を巡らせ、ニーズギャップに耳を傾け、ハードルを下げることで、活路が開けるかもしれない。

金森努(かなもり・つとむ)

東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道 18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。

共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。


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