「自律」と「自立」の違いについて(1/2 ページ)

» 2011年11月02日 08時00分 公開
[村山昇,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 自律と自立の違いは何か?

 これを言葉の定義上で理解するのではなく、その原理・原則のイメージを自分の中にすえておくことで、意識の中に長く効果的に定着するのではないでしょうか。

 私は、「自律的な働き方とは何か?」「自律と自立の違いは何か?」を説明するのに、「3+5=●」「●+●=8」の2式を用いています。

閉じた質問・閉じた業務

 「3+5=●」は、いわゆる「閉じた質問」です。誰が答えても、正解は「8」。

 閉じた質問において、回答者が要求されることは……

  • きっちり四則演算(というスキル)を習ってきなさい
  • 速く、正確に答えを出しなさい
  • そして量をこなしなさい

 閉じた質問においては、回答者は「処理作業」を行い、個性を求められることはありません。

 これは日ごろの業務で言えば、定型の仕事、過去の方法を踏襲してやる仕事だと思います。

開いた質問・開いた業務

 一方、「●+●=8」は、「開いた質問」です。答える人によって、「2と6」「4と4」……とさまざま出てきます。開いた質問において、回答者が要求されることは……

  • 四則演算(というスキル)を習得しているのは前提として
  • 与えられたゴール(=8)に対して、自分なりの組み合わせを考えなさい(なぜその組み合わせなのかの理由も付けて)

 開いた質問においては、回答者は「創意工夫+判断作業」を行い、個性が求められます。

 これは日ごろの業務で言えば、やることのミッション・ゴールは決められていて、そこにどういう方法でたどり着くか、効率・効果性も合わせて実行する仕事ではないでしょうか。

さらに開いた質問・業務

 さて、「●+●=○」を、「さらに開いた質問」と呼びましょう。

 この場合、「回答者は、右辺(=○:ミッション・ゴール、たどり着く先)も自分で設定しなさい。そして、それを実現するための左辺(●+●:プロセス、実現方法)も自分で考えて、実行しなさい」という形です。

 さらに開いた質問において、回答者は「課題発見+目的設定+創造+判断作業」を行い、より強い個性+やりきる力が求められます。

 これは日ごろの業務では、過去のやり方に安穏とせず、新しいアプローチで新しい商品・サービスを生み出し、新しい顧客を作り出す仕事だと言えます。

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