自立と自律の区別は、世の中で明確にされているわけではありませんが、私は次のように解釈しています。
「自立」は……
- self-standing(自力で立つことのできる)
- ほかに依存しないで、自分でやっていける
- 主に経済的自立、技能的自立をいう
他方、「自律」は……
- self-directing(自分で方向付けできる)、自力で立った後は、自分が決める方向に進んでいけるということ
- “律”とは、規範やルールのこと。つまり、自らの価値観を持って、そしてまた組織全体の価値観との整合性を図りながら、目的と手段を作り出し、進んでいける。そして、ほかにも働きかけることができる。
- 意識的な自律をいう
こんなことから、私は上の数式をメタファーとして、
- 3+5=●は自立レベル
- ●+●=8は半自律レベル
- ●+●=○を自律レベル
……だと研修で説明しています。
こうしたメタファーは、受講者に対してどう効いているか気になるところです。よく研修後に懇親会などで受講者の方がとお酒をくみ交わすわけですが、その時に「2つのジリツの違いがよく分かりました。自律は、マル・タス・マル・ハ・マル(●+●=○)ってことですよね」という声をもらうと一安心ですし、多分、本人の中にこのコンセプトイメージが長く定着するだろうなと思います。
結局、「自律的な仕事とは何か?」「自立と自律の違いは何か?」について、精緻な“コンサルタント的”名文で説明しても、会社側が要求する“人材要件用語”を並べても、受講者にはしみ込んでいかない。アタマで文字づらを理解してもハラに吸収されないわけです。
「原理・原則をイメージさせる」ことがキャリア意識を醸成させる研修プログラムにおいて、非常に重要であるとますます感じています。(村山昇)
→村山昇氏のバックナンバー
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