3.11後のタワーマンションから見えてきた“不動産選びの新基準”郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2011年11月17日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

the TOKYO of TOKYO

 ところで、晴海は「都心」なのだろうか。

 「クロノレジデンスのコンセプトは“the TOKYO of TOKYO”。東京の真ん中、銀座から2.5キロ、大手町から3.5キロという立地のランドマークに住んでいただくことになります」

 勤務先が大手町なら歩いても1時間、自転車通勤なら15分(レジデンス居住者専用の駐輪&メンテナンススペースも用意するという)。銀座は近所のスーパーの感覚で立ち寄れ、築地で毎朝マグロ丼もいける。月島の商店街で下町を味わうのもいい。国立がん研究センター中央病院や聖路加国際病院などの有名な病院も、歩いて行ける距離なので安心だ。

 外観デザインには世界的建築家のリチャード・マイヤー氏を起用し、2つのアクセントを付けた。

 1つは“冠(クロノ)”。LEDの明かりがともる建物トップの冠はどこから見てもランドマーク。もう1つは壁面の“白いウィーヴ(織り布)”で、光の移ろいが美しい格子状のルーバースクリーン。1LDK〜3LDKまで96タイプをそろえた、地上49階883戸の永住型マンション。高級な雰囲気だが、どんな人が住むのだろうか?

 「1LDKには若い夫婦や独身の方、2LDK〜3LDKは住み替えのファミリー層やライセンサー(弁護士、医者ら)など幅広いターゲットを想定しています」と亀田さん。ちなみに価格は年明け発表予定ということだ。

クロノレジデンスイメージ図。住戸は1LDK〜3LDKまで96タイプある

震災を受けて、災害対策施設などの見直しも

 震災後、三菱地所では自社マンション居住者らにグループインタビューやアンケートを重ねた。そして、その結果をもとに災害対策施設の見直しや災害対策基準を変更した。クロノレジデンスでも自家発電能力をアップさせ、2台の非常用エレベーターをフル稼働で24時間、制御稼働で48時間運行できるようになった。居住用エレベーターも8台中4台が、停電後24時間稼働できる。

 住戸各階には防災備蓄倉庫を設置し、2階には地域用の防災備蓄倉庫を設置、災害時に近所からの避難者の収容もできる。大人数の炊き出しができるキッチン(普段は貸し出しキッチンスタジオ)、非常用発電機やマンホール式トイレもある。

 さらに安心の“見える化”のために「災害対策カルテ」を作り、地盤や建物の構造情報、液状化情報などを積極的に開示する。防災マニュアルや防災計画の見直し、防災訓練の実施など、クロノレジデンスを皮切りに防災基準を既存パークハウスにも適用していくという。

三菱地所レジデンス街開発事業部シニアリーダーの亀田正人さん

 「クロノレジデンスのイメージキャラクターに石川遼さんを起用したのは、幅広い認知度で“安心・安全”を素直に伝えてもらうためです」

 クロノレジデンスは竣工後、2階に「ゴルフレンジ」が設置される。遼くんにもぜひそこで練習してほしいものである(それはないか)。

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