はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2007年10月5日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
詐欺まがいの事件の中には、「何でこんなのにだまされるの?」というものがあります。
「100万円を預ければ年30%の利子が付きます」とか、「30万円の教材を買って勉強すれば、毎月100万円の収入が確実に得られます」というような話は、自分の親が言ってきても信じられないだろうと思うのですが、実際にはだまされる人も少なくありません。
一方、「なかなかうまい」のは、本人がだまされたと思わないもの、だまされたのかどうか確認できないようなものです。
例えば、「何らかのクリエイティブな分野でデビューできます!」という言葉は、多くの人をひきつけます。思わず「だったら少々高くても投資してみようか!?」と思わせる力を持っているのです。
歌の上手な人に「あなたならきっとデビューできます! すぐにレッスンを始めましょう。まずはボイストレーニングのレッスン料として30万円を……」と持ちかければ、自分の声や歌に自信がある人ほど「おっ!」と思うのではないでしょうか。
音楽活動や作曲活動をしている人に「この曲なら巧くやればアルバムに入れられます。ついてはプロにアレンジを頼んだほうがいいので、その費用として20万円を……」という話がくれば、誰だって一瞬、いろんな妄想(?)が頭に浮かびますよね。
その後に「いいアレンジが仕上がりました! ぜひ有名スタジオで録音しましょう。ついてはスタジオ代が……」という話になった時点で「あれっ?」と思う人もいるでしょうが、反対に「いよいよだ!」と興奮してしまう人もいそうです。
こういうケースでは、最終的に期待した結果が出なかった時、「だまされた」と思う人もいれば、「プロでも厳しい世界ですから……」と言われて納得してしまう人もいるでしょう。
払った金額が受け取った便益に見合う金額だったのかどうか、経費が法外な金額ではなかったか、ということさえ確認しない人も多そうです。
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