震災後、首都圏で働くビジネスパーソンは通勤電車で苦労させられた。列車の運行本数を減らす間引き運転で、朝と晩のラッシュ時には大混雑。節電の影響で駅構内の照明が消されたり、電車内の空調温度が引き上げられるなど、不快に感じた人も多いはずだ。
またガソリン不足がなかなか解消されず、ガソリンスタンドでは給油を待つクルマが渋滞。通勤手段としてクルマを使っていた人の中には、自転車を使ったり、燃費の良いバイクに乗り換えたりする人もいた。通常の生活に戻ってからは、低燃費のクルマに買い換える動きも目立った。
未曾有の大地震を経験し、消費者は乗り物に対する意識がどのように変化したのだろうか。またどのような乗り物が売れたのだろうか。震災後の8カ月を振り返った。
震災後、電動アシスト自転車の販売台数が増加した。ジーエフケー・ライフスタイルトラッキング・ジャパンの調査によると、2011年3月の第3週(3月14日〜3月20日)の販売台数は1月第2週(1月3日〜1月10日)の約2.8倍を記録した。「電動アシスト自転車の平均価格は8万5000円前後。手軽に購入できるモノとは言えないが、震災を契機に、移動手段として今まで以上に幅広い層に受け入れられている」(ジーエフケー・ライフスタイルトラッキング・ジャパン)という。
またオリコンスタイルは8月に、通勤をテーマにした調査を実施。首都圏または近畿圏に住む20〜40代の男女に「今後、主に利用したい通勤手段」を聞いたところ、「電車」がトップ。次いで「自転車」「徒歩」「クルマ」と続いた。「自転車」と答えた人からは「運動・健康のため」といった理由のほかに、「災害時にも利用できるため」と答えた人が多かった。いざというときに、自分の足を確保したい人は少なくないようだ。
首都圏の出版社で働く、30代の男性は「久しぶりに自転車に乗って、想像以上に快適だった。運動不足の解消にもなるし、会社の通勤を電車から自転車に変えた」とも。通勤手段は住んでいる場所と会社との距離が大きく影響してくる。しかし本音としては「健康にもいいし、節約もしたいので、自転車通勤をしたい」と考える人が増えているようだ。
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