鈴木:ネットメディアが打ち出すことができるカラーというのは、どんなものがあるのでしょうか?
津田:さきほどネットメディアのカラーがあまりないというお話をされていましたが、それでも10年前と比べると、かなりカラーが出てきたのではないかと思っています。例えば『CINRA.NET』や『greenz.jp』はとても面白い。こうしたネットメディアが出てきて、きちんと運営できていることは、とてもいいことですよね。
いろんな方法論はあると思いますが、あまり会社を大きくしてはいけないのかなとも思っています。いまからメディアをやりたいという人は、借金のリスクを考えるとネットしかない。極端な話をすると、ネットというのは自分だけタダ働きをすればずっと続けることができる。そういう意味で、やはり紙よりネットだなあと思っています。
20人、30人のスタッフのメシを食わせようと思うと大変だけど、ネットであれば2〜3人でうまく成立させることができる。例えば講談社の『現代ビジネス』は面白いですね。
媒体をきちんと発展させていくためには黒字にさせなければいけない。ちなみに『現代ビジネス』は実質編集長1人で運営しているので、黒字化することに成功した。そうすると次にいろいろなことができるかもしれない。
鈴木:なるほど。
津田:講談社にはかつて『月刊現代』という雑誌がありました。調査報道を中心に掲載していて、若いライターを育てる場でもありました。しかし『月刊現代』は休刊になってしまったので、その代わりに『現代ビジネス』が若手ジャーナリストを育てようとしているのかもしれません。もし「若手ジャーナリストを育てたい」と思っても、黒字化を継続していかなければ会社はなかなか認めてくれませんから。
『現代ビジネス』の動きを見ていると、ネット媒体は1人でも運営ができるんですよ。少人数で運営して、黒字化することもできる。しかし「講談社」という資本があることも忘れてはいけません。
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