「SQ」ってナニ? 震災後に変化したモノ津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(3)(4/4 ページ)

» 2011年12月14日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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「プロボノ」に注目

鈴木:2004年にイラクで人質になった今井紀明さん(当時18歳)と、先日お話をする機会がありました。現在、彼は大阪の会社で働いているのですが、不登校の子供たちを支援するNPOを立ち上げました。ドロップアウトした子供たちを集めて、教育を支援したりする動きをやろうとしています。

 しかし世間的には「NPOを立ち上げるぞ」と言い出しても、フルタイムの仕事との両立ってホントに大変なんですよね。結局会社を辞めたという人もたくさん知っています。でも、仕事を辞めないと人の手助けができない社会って、そっちの方が変でしょう。今後は、言いだしっぺだけに頼るのではなく、休日だけボランティアをするといった形で社会に貢献する人が増えるかもしれない。休日だけ2枚目の名刺を使って活動するといった感じですね。

津田:僕は「プロボノ」にも注目しています。プロボノというのは、知識労働者が自分の職能と時間を提供して社会貢献を行うこと。この言葉ができてから、それまで弁護士だった人が「オレもボランティアをしよう」という動きが広がった。そうした概念と手段をうまく提示することが大切なのではないでしょうか。

 「なんとなく変わりたいけど、変われない」「やりたいことはあるけど、転職するリスクは負えない」といった人も多いはず。しかし休みの日に誰かを支援すれば、仕事にもいい影響を与えるかもしれませんしね。

続く

プロフィール

津田大介(つだ・だいすけ)

ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。J-WAVE『JAM THE WORLD』火曜日ナビゲーター。IT・ネットサービスやネットカルチャー、ネットジャーナリズム、著作権問題、コンテンツビジネス論などを専門分野に執筆活動を行う。ネットニュースメディア「ナタリー」の設立・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社)、『未来型サバイバル音楽論』(中央公論新社)など。

鈴木謙介(すずき・けんすけ)

1976年福岡県生まれ。関西学院大学 社会学部 准教授。専攻は理論社会学。情報化社会の最新の事例研究と、政治哲学を中心とした理論研究を架橋させながら独自の社会理論を展開。著者『カーニヴァル化する社会』(講談社)以降は、若者たちの実存や感覚をベースにした議論を提起しており、若年層の圧倒的な支持を集めている。著者は『サブカル・ニッポンの新自由主義』(筑摩書房)ほか多数。現在、TV・ラジオ・雑誌などを中心に幅広いメディアで活躍中。最新刊に『SQ “かかわり”の知能指数』がある。


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