電車を利用する人は、どんなお店を求めているの?エキなか!(1/2 ページ)

» 2011年12月20日 08時00分 公開
[笠井清志,Business Media 誠]

「駅ナカ発見!」とは?:

駅内の店舗と言えばキヨスクと立ち食いそば、というのは今や昔の話。2000年代に入り、その集客力を目当てに、本屋からブランドショップ、理容店までさまざまな業態が出店するようになり、大きな駅では商店街のようなエリアが生まれていることも。そんな駅ナカビジネスの裏側に迫ります。


 駅ナカマーケットは非常にポテンシャルが高いことを、前回の記事「売上7倍! 駅ナカマーケットが、ものすごく有望なワケ」ではご紹介した。今回はその駅ナカマーケットの特徴について考えていこう。

 駅ナカ(駅構内)マーケットのターゲットを考えると、当たり前だがお客さんは「鉄道利用者」となる。現状では残念なことに、「駅ナカの○○店に行きたいから入場券を買っていこう」という人は少なく、鉄道利用者が立ち寄ることが前提になっている。

最近はデパ地下にあるような店舗も少なくない(JR東京駅にて)

 鉄道利用者についてさらに考えると、「どこかに移動する目的がある人(=通過客)」とも言える。電車は時間通りに出発してしまうため、駅ナカで気になる店を発見したとしても、長時間店内に滞在することは難しくなる。つまり、店内でゆっくりと時間をつぶせるような業態は、駅ナカにはあまりふさわしくないのだ。

 私自身の経験からの分析だが、ここが「空港」立地と「駅」立地との違いになる。空港の場合、チェックイン作業があるため、お客さんは飛行機の出発時間より早く空港に来なくてはならない。そのため、空港内での待ち時間が発生し、時間をつぶせるような業態も成り立ちやすくなる。最近、国内線ではチケットレス化が進み、お客さんの空港滞在時間も短くなってきているが、国際線では特に顕著な傾向だろう。

 お客さんの駅滞在時間の長短により、消費行動がどのくらい変化するのか。駅でも「新幹線」「特急列車」「通勤電車」が停車する駅・ホームごとに違いが出ている。お客さんがお店で使うお金(客単価)を確認すると、新幹線>特急列車>通勤電車の順で高くなっているのだ。品揃えを変化させていることも要因の1つだが、やはりお客さんの店内滞在時間の違いが大きいと検証されている。

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