「従軍慰安婦」抗議からみえる、日本で起きるデモの未来(前編)ニッポンの紛争地帯をゆく(1/4 ページ)

» 2012年01月18日 08時02分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


「従軍慰安婦」とともに抗議をする日本人

 ちょっと前、ソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」のブロンズ像が建ったというニュースが流れたのを覚えているだろうか。

 かなり繊細なテーマなので詳しくはご自分で調べていただきたいのだが、「従軍慰安婦」とは「日本軍に強制連行され、性行為を強要された」と訴える女性たちのことである。韓国政府は日本に謝罪して賠償せよと迫っているが、政府は「問題は解決済み」というスタンスであるため、報復として大使館の目の前に「被害者」を立たせたというわけだ。

 KARAの脚線美や女優キム・テヒの美貌に鼻の下を伸ばしていた“親韓”な人からすればあまり聞きたくもない話だろうが、この問題に対するかの国の反日ぶりはすさまじい。

 李明博大統領は野田首相に対して「誠意」をみせないと韓国中に従軍慰安婦像が建つぞと恫喝。「従軍慰安婦」だったという老婆たちは、日本大使館前で1000回にものぼる座り込み抗議を続けたあげく、ブロンズ像が設置される日に合わせて御年89歳の老婆が抗議のために車椅子で来日し、外務省へ乗り込んだのだ。

 国家にはそれぞれ外交戦略というものがあるので、いたしかたないとして、これに合わせて日本特有の現象が起こっている。

 なんと韓国の人たちだけではなく、「従軍慰安婦」に謝罪せよ、賠償せよとたくさんの日本人まで外務省に押しかけたのである。

「従軍慰安婦」だったという老婆が外務省へ抗議に訪れ、日韓のマスコミがかけつけた
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