転職する前に、すべきこと吉田典史の時事日想(2/4 ページ)

» 2012年01月27日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

 自分自身のことを考えていくと、もしかすると「会社を変わる理由はない」といった結論になるのかもしれない。私のこの問題意識を、人事コンサルタントの川口雅裕さんに尋ねると、「かつて会社員の頃、中途採用の担当を長くしていた」と前置きし、こう答えた。

 「転職しようとする人の中には、確かに今の職場でうまくいっていない人がいる。その人たちの1つの特徴は、チームに溶け込もうとする前に、がんばろうとしたこと。例えば、上司や周囲と良好な関係を作る前に、“俺にはこんな実績がある”といった態度を取っていた。仕事で実績を残そうとする姿勢は大切だが、まずはそのチームのメンバーに受け入れられ、認められることが先決。そのことができていなかった。

 もう1つの特徴は、“前の会社は〜だが、今は〜だ”などと比べること。このような考えでは、チームに溶け込めない。転職を繰り返す人は、この傾向が目立つ」

 このあたりは大切な指摘であり、私の考えを補足したい。この「チームに溶け込もうとする前に、がんばろうとしたこと」を指摘する人は、実は多い。企業の人事担当者や労働組合ユニオンの役員らに聞いても、同じような回答になる。

 一方で、職務遂行能力を上げることや実績を残すことを「プロフェッショナル志向」として説く人もいる。なぜか、職場やチームに溶け込むことを言わない。私は、チームの一員として上司などから認められることも、「プロフェッショナル志向」だと思う。

 職務遂行能力を上げることや実績を残すことを真剣に考えるならば、何よりもチームの主要メンバーに認められることが大切だ。この手順を間違うと、次の職場に行っても、同じことを繰り返す。

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