転職する前に、すべきこと吉田典史の時事日想(3/4 ページ)

» 2012年01月27日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

会社の内情は

 川口さんはエントリーする会社の内情を調べることには、「聞く相手を間違わないこと」と指摘する。

 「例えば、退職者にアプローチして内情を聞き出したとしても、それはその人のフィルターを通して見たもの。これを信用して会社に入ると、 “全く違う”となりかねない。内情を聞こうとするならば、在籍期間が長い社員のほうがいい。少なくとも退職者よりは精度が高いことを聞くことができる」

 ここで、私は尋ねた。社外からは、それがなかなかできない。その場合はどうすべきか、と。川口さんは、こう答える。

 「転職試験の際に人事担当者に直接、聞いてみるのがいい。ただし、これもその人のフィルター越しの情報であることを心得たい。私の経験で言えば、エントリーをしてきた中で、試験を終えた後に近づいてきて、社内のことを聞こうとする人がいた。入社しようとする会社のことを知っておきたいという思いは私も分かる。そこで懸命に答えた。その中には、優秀と思える人が多かった。実際、彼は入社し、その後、活躍もした」

 試験を終えた後、アプローチをしてきた人について、川口さんはおおむね好感を持ったという。特に「短い時間で情報を取る、“取材力”が高い」と語る。

 私が付け足すと、その取材力を身に付けるためには、短い時間で相手(人事担当者)に信用してもらえるようになることが前提になる。例えば、身なりや発言、雰囲気などである。さらに、『これをこのようにして聞き出そう」とか」「こんな回答ならば、こんな具合に聞こう」とシミュレーションしておくことも必要である。

 私が面接官らについてはどう思うか、と川口さんに聞くと、「会社によって面接官の受け止め方を変えたほうがいい」と指摘する。

 「社員数50人ぐらいまでは、社長が面接官として登場し、その一存で内定か否かを決める可能性が高い。入社後も、社長と関わることが何かと多い。それを踏まえ、“この社長と合うかな”などを感じ取っていくしかないと思う。

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