先週末の下落の反動や欧州金融不安の一段落期待から先物主導で堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年02月13日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国株安にもかかわらず、若干買い先行となりました。週末の手仕舞い売りに押されていたこともあり、米国株安の要因の一つである週末の手仕舞い売りに関しては織り込まれていたものと思います。加えて、ギリシャ問題の進展の話も伝わり、ユーロが買われる場面もみられ、先物のまとまった買いもみられて指数は堅調となりました。ただ、個々の銘柄をみると何となく値動きの悪いものもみられ、積極的に先高期待から買われているというよりは持高調整の買いが主体だったのではないかと思います。

 先週末の米国株は一時大幅安となるなど軟調となりました。ギリシャ問題が大きく取りざたされているのですが、ギリシャ問題というよりも週末の手仕舞い売りや中国の貿易統計が芳しくなかったこと、消費者態度指数が芳しくなかったことが下落の要因と思われます。ギリシャ問題が下落要因であれば、ユーロが軟調となるのでしょうし、個別の銘柄をみても銀行株などがもっと売られてもよかったのではないかと思います。全般的に軟調となったことや景気敏感銘柄が売られていたこと、商品相場も軟調となって株価下落の要因となっていたことなどを考えると、ギリシャ問題だけではない、ということになるのです。

 本日の日本市場でも「アジア株が高いから」などというコメントが相変わらずみられますが、単純に先週末の手仕舞い売りの後、買い直すタイミングを計っているところで、先物にまとまった仕掛け的な買い、買戻しがみられたことで買い急ぐ動きとなったということでしょう。また、アジア株が高い要因もギリシャ問題の落ち着きやユーロ高などであり、日本市場がアジア市場が高いからといって高いというわけでもないと思います。欧米株、特に米国株が高いからといって高いということはまだ、世界の景気動向を示しているという意味では米国市場に注目するのはわかるのですが、都合の良いときだけアジア市場が云々というのはどうかと思います。

 市場全体の動きだけでなく、個々の銘柄の動きでも、簡単に指数が高いから高い、というケースもあれば、個々の株価が高くて指数が高いというケースもあり、いろいろなことが絡みあっての株価となっているのであり、簡単に一言で片付けてしまうということではしっかりと相場を読んでいるとは言い難いと思います。しっかりと市場で何が起きて、誰が何を考えて何をしているのかを把握することが相場を読むということであり、自分の持ち高をどうすれば良いのか、そこで判断できると言うことなのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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