“依存”ではなく“自立”を、ケニアのエイズ孤児を救うために世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/4 ページ)

» 2012年02月28日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

自分の無力さを思い知る

――谷澤さんがPLASに参加した経緯を教えてください。

谷澤 大学時代は途上国の貧困問題に関わりたいと思い、国連などの国際機関での仕事に憧れていましたが、現場を知らずにそうした道を目指すことに違和感を覚えていました。

 その時、国連大学で出会ったアフリカの人たちの「自分たちの国の発展のために尽くしたい!」という強い思いに共感し、学生最後の夏休みに思い立ってアフリカ(偶然にもケニアでした)へ行くことにしました。

 そこで目にしたのは、電気も水道もなく、クルマも滅多に通らない田舎での生活、そしてエイズと戦う人たちの姿でした。自分の無力さを思い知ったものの、あきらめの悪い私はPLASの発起人が企画した勉強会に参加し、現在の仲間に出会いました。

 知識も経験もありませんでしたが、「何かをしたい」という思いが先走っていた感じですね。その後ケニアで活動する別のNGOで1年弱の間インターンとして地域開発のイロハを学び、帰国後はプラスに本格復帰し、思いを形にするために海外事業を担当しています。

――谷澤さんがケニア現地で行っている活動内容について教えてください。

谷澤 ケニアの事業は現在、お母さんから赤ちゃんへのHIV感染を防ぐ母子感染予防事業に力を入れています。HIVに感染した赤ちゃんは、その半数以上が2歳の誕生日を迎えることができません。母子感染予防プログラムを受けることで感染率は3%以下まで下がるといわれていますが、農村では母子感染が予防できることを知らない人たちがいまだに大勢います

 PLASの母子感染予防事業では、地域で啓発リーダーたちを育成し、彼らがグループを組んで地域の医療機関や区長の会議など、さまざまな場所で啓発活動を実施します。

 その際に対象となるのは妊産婦のみならず、女性が出産をする上で協力が必要不可欠となるパートナーの男性や家族も含まれており、家族ぐるみで課題を解決できるようにうながしていきます。

 このような活動を行うためには、住民に行動変容をうながしていく啓発リーダーたちが住民から信頼されていることが重要です。そのため啓発リーダーとして育成される人たちは、地域住民が安心して情報を受け取れるよう住民自身が投票を行うことで選出されます。

啓発活動に参加するお母さんたち

 また、ケニア事務所の統括も業務の一部です。ゼロからのスタートでしたので、団体登録や事務所の開設を経て、経理や人事、総務などの事務もやらなければなりません。

 海外での仕事というとどうしても事業調整にばかり注目がいってしまいがちですが、事業の根幹を支えているという点ではこちらもなかなか手ごたえのある仕事です。

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