原発を再利用したテーマパークに行ってきた松田雅央の時事日想(2/5 ページ)

» 2012年02月29日 08時01分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 ブンダーラント・カルカーの冷却塔も昔は白いコンクリートの地肌を見せていたが、施設開業に合わせて美術大学の学生によってアルプスの山々が描かれた。また外壁にはクライミング用のホールドが取り付けられ、専門トレーナーの指導によりクライミングを楽しむことができる。

 ドイツ北部とオランダには山らしい山が一切ない。特にオランダは最高峰が323mという平坦な国土のため、オランダ陸軍はこの冷却塔でクライミング訓練をしたという。

 現在、冷却塔内の冷却設備はすべて取り除かれ回転遊具が設置されている。チェーンにつながったイスが回転しながら上昇し、一番上まで行くと冷却塔の高さを超え360度のパノラマを楽しめる仕掛けだ。

冷却塔とアミューズメントパーク
冷却塔内に設置された遊具

投資総額5000万ユーロ

 非常電源用ディーゼル発電建屋は小さな原子力博物館に改造されている。

 ブンダーラント・カルカーには「ケルニー」(あえて日本語に訳せば「原子力君」)というマスコットがいて、博物館の中でも彼が随所に登場する。ちなみにケルニーの仕事は原発作業員。そもそも反原発運動から生まれたテーマパークなのだから原子力と無関係なキャラクターでもよさそうなものだが、まあ、ちゃっかりしたキャラクター起用ではある。

 原子炉建屋はいまのところ使われていない。稼働している他の原発の原子炉建屋を見学することは困難だから、ここを博物館として整備すれば人気を博すと思うのだが、その計画はないそうだ。内部は機器の解体工事が行われたため見学するには危険な状態となっている。博物館として整備するには莫大な資金が必要となり簡単にはできないという。

原子力博物館

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