まもなく震災から1年が経とうとしています。震災後、「絆」というキーワードがさまざまなシーンで語られてきましたが、人々の間で本当に絆は深まっているのでしょうか。各種のデータをみると、確かに絆は深まっているようです。そして、“新しい人とつながりたい”という動きも出てきているようですね。
マコ:大企業の経営戦略室で、大手町先輩のアシスタントとして働く。社会人1年目。時事問題にめっぽー弱く、社会人としてはまだまだ。先輩から何を言われてもへっちゃらな性格。
大手町先輩:経営戦略室のエリート社員で、マコの先輩。とにかくいろいろなことに詳しい。なぜか、たまに関西弁でしゃべる。
マコ:震災があって、もうすぐ1年ですね。よく「家族や友人との絆が深まった……」と報道されているけど、実際のところどのくらい深まったんでしょうね。
ちなみに私と大手町先輩の絆って、深まっているんですかーっ?
大手町:ゴ、ゴホン。僕たちのことは置いといて……。
確かに「絆」というキーワードがいろんなところで出たきたよね。2011年の今年の漢字(日本漢字能力検定協会)でも「絆」が選ばれた。また、さまざまな調査で「絆が深まった」という結果が出ている。
例えば、震災後意識するようになったこととして「家族や親戚とのつながりを大切にする」(40.3%)という人が4割いた(内閣府調査)。また、震災を経験し、親の約半数が「家族の絆に対する意識や行動を変えた」(48.1%)と回答しているんだ。さらに「子どもは自分が守らねば」「家族はかけがえのないもの」「家族と一緒に過ごしたい」という意識が強まっている結果も出ているね(電通調査)。
マコ:やっぱりそうなんだ。家族だけに限らず、「絆を深めよう」というムードが高まっていることはいいことですよね。
大手町:いや、一概には言えないかもしれないよ。例えば、社会学者の鈴木謙介さんは「絆格差社会が生まれるかもしれない」と警鐘を鳴らしている。「『できる限り仲のいい人たちとつながりましょう』ではなくて、『知らない人だけど困っている人がいれば声をかけましょう』でなければいけない」とも指摘しているんだ。
もちろん絆を深めることはいいことだけど、本当に必要としている人たちが「絆が深まった」と感じているのかどうか。このことも考えないといけないよね。
マコ:なるほどー。
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