先週最も読まれた記事は「世界とは“自分の見えている範囲”」。2位は「『女子』と呼ばれるのは、何歳まで?」、3位は「Facebook女子とmixi女子の違いとは――データから見るペルソナ図鑑」だった。
東日本大震災からもうすぐ1年。各メディアではさまざまな特集を組んでおり、Business Media 誠でも先日掲載した「震災直後、広島の中学生が始めたNHKのUst無断配信」などの記事が多く読まれている。筆者も記事を読んでいて、震災でテレビの液晶が割れたため、ニコニコ生放送やUstreamで放送していたNHKニュースをPCで見ていたことを思い出した。
そんな中、Business Media 誠で「東日本大震災ルポ」を連載しているフリーライターの渋井哲也さんが参加した『風化する光と影』が、3月7日に発売された。
同じくフリーの村上和巳さんや渡部真さんらとの共著で、福島県浪江町から宮城県亘理町、岩手県陸前高田市、北海道厚岸町などさまざまの地域の人々の暮らしに焦点をあてたルポである。首都圏に住んでいる人間としては、どうしても原発問題が最大のものとなりがちで、震災関連報道でも原発関連が目立つのだが、『風化する光と影』では原発の要素は薄めで、それぞれの被災地が抱える課題を描き出している。
もちろん、大手メディアでも地域に密着した記事は多く発信しているのだが、『風化する光と影』ではそうしたメディアでは、自主規制などの問題からなかなか扱いにくい題材も取り上げている。
例えば、火事場泥棒。コンビニ前に長い列を作るなど、「未曽有の災害にもかかわらず秩序だった行動をとった日本人」といった報道もあったが、その裏で被災住居から家電製品を盗む人々や、ATMの窃盗被害もあったことを被災地での証言をもとに描いている。また、福島県内の住民の対立についても触れており、浜通りの人々と、中通りの人々では意識が異なっているという話は筆者にとって印象的だった。
原発事故対応の会議で議事録が残されていないことが問題になったが、『風化する光と影』は被災地の思いを記録した重要な資料にもなっているだろう。3月22日放送予定のビジネステレビ誠でも、そうした被災地の状況についてお伝えする予定なのでご覧いただければと思う。
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