「今後30年以内にマグニチュード7クラスの地震が、首都圏で発生する確率は約70%」――。この数字を聞いて、不安を覚えた人も多いはずだ。その後も「4年以内に70%」「5年以内に28%」といった数字が飛び交い、情報に右往左往させられた。
近い将来、発生する確率が高いと言われている「東京湾北部地震」について、どのくらいのことが分かっているのか。文部科学省の委託を受けた専門家が、地震を引き起こすメカニズムを明らかにした。研究メンバーのひとり、東京大学地震研究所の平田直教授が首都直下型地震の姿を語った。
平田:首都圏(南関東)ではこれまで、繰り返し大きな地震が発生してきました。例えば1923年に起きた「大正関東大震災」。この地震によって、10万人以上が亡くなられた。
大正関東大震災はプレートの境界で発生し、地震の規模はマグニチュード(M)8クラス。この地震に類似したものといえば、1703年に起きた「元禄関東地震」がある。これは江戸時代に起きた地震ですが、大きな災害をもたらしました。特に「津波が発生した」と伝えられています。また同じく江戸時代に「安政江戸地震」(1855年)があり、そのときの死者は7000人以上と推定されています。
当時の人口を考えれば、阪神・淡路大震災を上回る人が亡くなったということになります。なので、これらの地震は「大災害」だと考えられます。この中で比較的被害が小さかった地震は、1894年に発生した「東京地震」。こうした大災害がありましたが、その後、首都圏では幸いにも大きな震災を経験していません。しかしM7クラスの地震はたくさん起きてきました。
M8とM7。Mという単位では「1」しか違いませんが、実は地震のエネルギーとしては約30分の1の違いがあります。M7は自然現象としては大変小さな地震。“大変小さい”といってもM7クラスの地震が都市で起きれば、1995年の阪神・淡路大震災のように非常に大きな災害になってしまいます。
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