ソーシャルゲーム界の雄、国光宏尚氏の世界制覇シナリオNew Order ポスト・ジョブズ時代の新ルール(2/4 ページ)

» 2012年04月06日 08時00分 公開
[取材・文/瀬戸友子 撮影/桑原美樹,エンジニアtype]

成功に必要なのは「天の時」・「地の利」・「人の和」

「モバイルコンテンツの領域では、世界に比べて日本に圧倒的なアドバンテージがある」(国光氏)

国光 世界に目を向ければ、エマージング諸国を含めて各国にモバイルが普及し、PC中心からモバイル中心の市場が育ちつつあります。

 そして偶然にも、モバイルの領域では、日本が世界に先んじており、圧倒的なアドバンテージを持っています。

 しかもこのタイミングで、日本ではスマートフォンが一気に広がり、ガラケーと言われたフィーチャーフォンの売り上げに迫るほどの伸びを見せている。スマートフォン向けのアプリケーションが充実し、世界に出て行く下地ができています。これが天の時。

 また、これまで日本のベンチャーは、シリコンバレーと比べて資金力で弱かった。ところがモバイルソーシャルゲームの分野では、日本が世界の中でも早くから成長を遂げ、収益性の高い国内市場をベースに勝負することができます。これが地の利。

 さらに日本には、ゲームやエンタテインメントに通じた優秀な人材が豊富にそろっている。僕は前職で映画やドラマのプロデュースをしていたので、日本にコンテンツ力があることをよく知っています。これが人の和。

 つまり、今僕たちには「天の時」・「地の利」・「人の和」の3つが整っているわけです。日本勢がトップの一角に食い込める可能性は十分にある。

 実は僕らは、もともとプラットフォーム事業を手がけていて、「Facebookのモバイル版を作ろう!」と携帯版SNSサイトを立ち上げたんです。mixiがオープン化する1年前のことで、当時としては世界初のサービスでした。

 ところが、まだ規模も小さかったからほとんど相手にされず、仕方なくコンテンツを自社制作し始めました。結果的にそれが成功につながって、ここで天・地・人が整った。この勝機を逃して、いつ挑戦するのか。今はそれくらい大きなチャンスの時だと思っています。

―― 日本勢にはかなりの勝算がある、と。その中でも、世界トップを狙える企業の条件とはどういうものでしょうか?

国光 天・地・人が整ったからには、後はやるか、やらないかの決断です。僕らはこれを大きな使命ととらえて、全身全霊をかけて進んでいくつもりです。さらに言うと、ここでトップを獲らないと日本が沈んでしまうとさえ考えています。

 今の日本に危機感を抱いている人は少なくないでしょう。気が付けば「失われた10年」は20年になり、世界における日本企業の存在感はどんどん薄まっている。少子高齢化が進んで社会保障の不安がふくらんでいるところに、大地震と原発事故が起こり、円高が輸出産業を直撃しています。

 特に日本と海外の決定的な違いは、資源の有無。日本では石油もガスも鉄も採れないし、食料自給率だって低い。すべて海外から輸入せざるを得ません。そのためには、外貨を稼げる輸出産業が日本には必要なんです。

 その役割を担ってきた自動車や電機メーカーが苦境に立たされる中、彼らに替わる新しい産業を創出していかなければいけない。次代を担う新たな存在として、やはりIT産業に期待が掛かります。

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