―― これからのソフトウエアにおけるプロダクトデザインの「新ルール」とは、どのようなものだと思いますか?
上杉 「新ルール」というものはないと思っていて、ソフトウエアも同じように「不可能」「可能」「芸術」という道をたどるのだと考えています。ただ、ソフトウエアの中でも、Webサービス、特にソーシャル系サービスはまだこれからでしょう。
ソーシャル系サービスはたくさんの「不可能」を「可能」にしましたが、「芸術」の域に達しているサービスはまだそれほど多くありません。
個人的には、今芸術に一番近いのはFacebookかな、と思っています。Facebookでは写真に写っている友達にタグを付けることができます。メールとかチャットとか、1990年代から2000年代にかけてWebを介したいろいろなつながり方が可能になりましたが、それをタグという形で表したのは、「可能」が「芸術」になった瞬間じゃないでしょうか。
なぜ芸術かというと、タグを付けるコストはメールより小さくとも、1つ1つのタグが持つ意味がメールよりも大きいからです。何度も同じ写真に写っている人たちは、物理的にも人間的にも距離が近いということだから。
Facebookのタグ機能は2005年に生まれましたが、今となっても基本コンセプトはそのままに、人とつながる中心的な機能として使われている。これ以上変えるところがあまりないので、これは芸術なんだと思います。
タグ機能は一部の例にしか過ぎませんが、まだまだたくさん、ソーシャル系サービスで「可能」を「芸術」にまで高められるものがあるはずです。
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