では新人の現実対峙力がどうかというと、残念ながら低下傾向にあります。
しかし、ここで他責の構造に陥ってはいけません。新人の現実対峙力が高くないのは本人のせいではなく、彼らが生まれ育った環境の質的変化が原因と考えられるからです。
上の図の通り、今の新人・若手の多くは経済的に豊かな生活を送ってきたので、現実対峙力を養うために不可欠な厳しい環境下でもがき苦しんだ経験が少ない。この環境は時代の変化によるものであり、本人たちの責任ではないはずです。
一方、上司世代が生まれ育った時代はこうした経験がアタリマエにできる環境がありました。ゆえに、上司世代は「社会人なんだからこれくらいできてアタリマエだろう」と無意識に思いこんでいるのです。しかし、この現象は本人の能力や努力が足りないのではなく、社会の構造変化による経験不足が原因――ととらえ対策をとることが必要でしょう。
(1)自分の新人時代と比較しない、今の若手は伸び悩むのがむしろ当たり前
かつて日本企業の新入社員の成長度合いは、「2:6:2」と言われていました。最初から順調に成長していく人が20%、伸び悩みが20%。残りの60%は普通に成長できていました。
ところがこの育成の構造不況が進んだことで、私たちの感覚では、今や最初から順調な新人はわずか5%に過ぎず、伸び悩みが約80%を占めている印象です。今は「伸び悩む状態」がアタリマエの時代なので、「なぜこんなこともできないのか」「やる気が感じられない」などと新人を嘆いてはいけません。
ここからどうリカバリーし成長軌道に乗せていけるかが、新人・若手そして先輩・上司の共通の課題なのです。自分たちの新人時代の状態と比較して、伸び悩む状態を問題とし、さらに原因を他責にしていては決して新人・若手育成は前に進んでいきません。
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