将来的には、この4つはいわゆる階級的に“最初から分断されたポジション”として確定していくことでしょう。次の図をご覧ください。昔は全員が(4)からキャリアをスタートして、順に(3)、(2)、(1)と上ってきていたのに、今や(1)の人は、最初からそういう教育を受けた人が横から入ってくるようになったのです。
右側に付け加えた“縦の赤線”は、新規の労働者が社会に入ってくる時のラインです。以前は(4)の下に横にひかれていたこの線は今は縦になり、学生が社会に入ってくるその瞬間から「どのポジションで社会に入るか」が決まってしまうようになっています。
今でも唯一起こり得るのは、(3)から(2)への移動でしょう。その意味で、(3)と(2)は同じボックスに入れ、右側にずらしておきました。
(2)から(1)は、ありそうに思えるかもしれませんが、実はあまり起こりません。なぜならその差は、スキルや能力の差だけではないからです。
このように、現代における労働者は……
(1)システムの構想をする人(システムより上に位置する)
(2)構想されたシステムの設計をする人
(3)設計されたシステムを制作する人
(4)システムに沿って働く人(システムの下に位置する)
……という4つに分断されてしまったのです。次回はこういう形で分断されることによって、どんな問題が起こるかということについて、考えていきます。
そんじゃーね。
この記事は、『ルポ 正社員になりたい―娘・息子の悲惨な職場』『不平等社会日本―さよなら総中流』『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』の3冊の本を読んで考えたことをまとめたものです。
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
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