なぜ“イケ婿”は登場したのか? 最新の結婚事情に迫るこれからのことがよく分かるコラム(3/5 ページ)

» 2012年05月09日 08時02分 公開
[伊藤綾,Business Media 誠]

「ハデ婚」「ジミ婚」そして「アットホーム婚」

 結婚式のトレンドは、80年代ごろからおよそ10年単位で変化している。80年代はいわゆる「ハデ婚」の時代。大きなシャンデリア、新郎新婦を照らすスポットライト。有名人の披露宴をテレビ中継すると、高い視聴率を叩き出したのはこの頃だ。

 ちなみに80年代には“定番”だったが、現在はあまり見られなくなった3大アイテムがある。背の高い「イミテーションケーキ」、ひな壇の上の「金屏風」、そして「仲人」である。結婚式は「家と家の結びつき」を華々しく披露する場、という意味合いが強かった(ちなみに現在、仲人がいる結婚式は全体の0.9%(ゼクシィ結婚トレンド調査2011・首都圏)にすぎない。仲人がいたらそれはセレブの証とも言われる)。

 90年代、バブル崩壊とともにトレンドとなったのは「ジミ婚」であった。過剰に思えるモノはいらない、2人が結婚する事実のほうを大切にしたいと、結婚式を挙げない有名人カップルが続き、食事会に近い「レストランウエディング」のブームも生まれた。このまま結婚式はシンプル化の道をたどるのではと推測された10年だった。

 しかし、そこに2つのきっかけが訪れ、結婚式は大きな転機を迎えることになる。1つめは2000〜2001年のミレニアム婚だ。21世紀を迎える節目に婚姻組数が増加し、マーケットが活況となる。そして2つめはゲストハウス(邸宅風結婚式場)の登場だ。一軒家を貸し切り、自然光がさす部屋でのリラックスしたパーティは、ハデでもジミでもない「アットホーム婚」という言葉を生み出し、カップルたちの心をつかむこととなった。

 「アットホーム婚」の特徴は、これまでのように花嫁だけではなく、招待客や家族も同様に結婚式の「主役」と考える点だ。明るくフラットな空間で、さまざまな演出や装飾を取り入れ全員で楽しむ。そんな志向は、結婚式費用の上昇につながっていった。

挙式、披露宴・披露パーティ総額グラフ(ゼクシィ結婚トレンド調査2011・首都圏)

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