この連載は4月10日に発売された『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)の第1章から抜粋、編集したものです。
まつもとあつし氏のプロフィール
ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。DCM修士。ネットコミュニティーやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、ITを切り口としたコンテンツビジネスの取材・コラム執筆を行う。著書に『生き残るメディア 死ぬメディア出版・映像ビジネスのゆくえ』(アスキー新書)、『スマートデバイスが生む商機見えてきたiPhone/iPad/Android時代のビジネスアプローチ』(インプレスジャパン)、『スマート読書入門』(技術評論社)など。
それにしても「ソーシャルゲーム」という言葉を目にすることが多くなった。
NHKや日経新聞が特集を組み、ソーシャルゲームの専門誌の創刊が相次いでいる。何よりもテレビCMを見ない日はなくなったといっていいだろう。都心部の駅など、街中にはゲームの宣伝のための看板が溢れている。不景気なんてどこ吹く風、といった趣だ。人材獲得争いも激しさを増し、新卒採用者に年収1000万円を提示する会社も出てきた。就職難に苦しむ就活生たちは、この成長産業に我先を争って押しかけている。
それを狙って、「ソーシャルゲーム開発者講座」があちこちで開かれている。その受講料は年100万円を超えるものも珍しくないが、受講生たちは「就職できれば元が取れる」と迷いはない。
Facebook上で遊ぶことができ、すでに月間1億人以上のアクティブユーザーを集める「City Ville」、mixiで人気を博した「サンシャイン牧場」など、ブラウザで遊べるゲームはこれまでもあった。友人から招待状をもらったり、それに応じて遊んだりしたことのある人も多いはずだ。だが、今世間一般で「ソーシャルゲーム」といえば、携帯電話で気軽に遊べるものを指すことがほとんどだろう。
電車のなかでも、携帯電話でソーシャルゲームに興じている人が増えた。以前は1人で遊ぶ麻雀などのミニゲームが中心だったが、通信機能を活かして見知らぬ人と対戦することも珍しくなくなったようだ。
元年とうたわれながらも、2010年まで結局市場はそれほど広がらなかった電子書籍に対して、ソーシャルゲームのそれはまさに元年と呼ぶにふさわしい伸びを見せた。
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