急伸するソーシャルゲーム市場ソーシャルゲームのすごい仕組み(1)(2/3 ページ)

» 2012年05月11日 08時00分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]

 矢野経済研究所のこの調査によれば、2012年度、日本国内のソーシャルゲーム市場は3400億円を突破する見込みと予測されている(図3)。

 その勢いは冒頭に例として挙げたテレビ広告にも現れている。ネット広告に対して、テレビ広告は一般にリーチ(到達できる範囲)は広いがコンバージョン(実際に商品を購入したり、サービスを利用する人の比率)が低いといわれる。ネットビジネスの世界でテレビに広告を打つというのは、実はかなり異例だ。たとえば、アマゾンや楽天のような最大手eコマースサイトでも、年末商戦期など特殊な場合を除いて日常的にテレビCMを流すことはほとんどない。通常は、Webサービスの認知を図るためには、Googleが提供するテキスト連動型広告など小規模な予算からはじめられる広告で慎重にその効果を見ながら、少しずつバナー広告、ラジオCMなどその範囲を広げていく。経営者が自分が出演して目立ちたいといったバカな理由でない限り、いきなり大々的にテレビCMを打つというのはIT企業ではタブー視されてきたのが実情だ。

 そんななか、ソーシャルゲーム企業は積極的にテレビにも広告出稿を行っている。従来のネット上での広告手法でユーザーを獲得しつくしたからこそ、さらなる市場を求めてテレビへの広告出稿を行っているというのが自然な見立てだろう。DeNA、GREEとも毎四半期ごとに40〜50億円近い広告宣伝費を計上しており、テレビCMもその大きな割合を占めているはずだ。

 ゲームユーザー、ネットユーザーといったクラスタ(ユーザーの集合体)を越えて、普段はメールチェックくらいしか行わない―つまり、従来のネット広告に触れる機会が相対的に少ない―カジュアル、ライトユーザー層にもソーシャルゲームはその食指を伸ばしている、あるいは伸ばさざるを得なくなった、ということがよく現れている。

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