トランスフォーマーはもともと1980年代前半にタカラが販売していた「ダイアクロン」「ニューミクロマン」を中心に、他社の変形ロボット玩具も含んで北米で「TRANSFORMERS」として売り出したところからはじまる。従って、出自は日本のロボット玩具である。
次図は映画『トランスフォーマー』シリーズの興行収入だが、3作目は北米で若干数字が下がったものの世界的には順調に伸びていることが分かる。ガンダムを中心とする日本のロボットキャラクターが海外で伸び悩んでいるのに対し、トランスフォーマーはどうしてフランケンシュタイン・コンプレックスを克服できたのか。その謎を解くカギは、1984年から始まる一連のアニメーションシリーズにある。
アニメシリーズはほとんどが日本で作られているが、初期は脚本、絵コンテなどのプリプロとポスポロ(音響、編集)を米国で、メインプロダクションのアニメーション映像制作を日本でやるといった合作スタイルだった(1984年から続く長期シリーズだが、製作体制は何度も入れ変わっている)。
つまり、米国サイドがクリエイティブをコントロールしていたわけだが、その過程でフランケンシュタイン・コンプレックスを解消するための手法が注入されたのだろう。ある意味、キリスト教圏に向けたローカライズとも言えるが、「超ロボット生命体」として「機械の身体を持った人間」というニュアンスを付加することでロボットアレルギーを徐々に取り払っていったものと思われる。そして、ハズブロはロボットとの20年以上に渡る関係性の中で得たそれまでのノウハウを、2007年から始まった映画シリーズにつぎ込んだのだ。
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