女子大生の学費支援サイトは、“極悪なサービス”だったのかそろそろ脳内ビジネスの話をしようか(1/3 ページ)

» 2012年06月07日 13時35分 公開
[島田 徹,Business Media 誠]
誠ブログ

 5月中旬、「studygift」という学費に困っている苦学生を支援するファンドサービスのリリース話をtwitter経由で知りました。

 「ほうほう、それはいいことだなー」と思っていたら、間もなくして、というかほぼ同時に、このサービスに対するネガティブな情報もたくさん入ってきました。それからあっという間にあちこちから火の手が上がり、火だるまになりながらこのサービスは一瞬でクローズしてしまいました。

studygiftトップページ。現在はサービスを停止し、お詫び文を掲載している

 なんと、オープンから11日目のことと言います。この一部始終を詳しく知りたい人は、以下の記事によくまとまっていますのでご覧ください。

 これまでシステムを作る側でこうしたサービスの立ち上げに多数関わってきた人間として、せんえつながら私なりの見解を述べたいと思います。

そもそもstudygiftはビジネスモデル的にどうなのか

 そもそもこのstudygiftのビジネスモデルはどうだったのでしょう? そんなに火だるまになるほどの極悪なサービスだったのでしょうか?

 このサービスは、要は学費に困っている学生と、お金に余裕があるが支援先がないという人々をマッチングさせるというもの。お金を移動する際に発生する事務手数料(サービス利用料)をもらい受けるのがビジネスモデルです。

 お金に困っている学生はたくさんいます。また、お金が余っていて若者を支援したい人もたくさんいる。法人側からすれば、学生を支援しているというのは聞こえがいいので是非協賛してみたいと思うところもあるでしょう。

 ただ、これまではそのマッチングがなかなか難しかったのです。それが、ITを使えばそれが可能になるところに事業化の可能性がありました。しかもこれまでの「あしながおじさん」などのレガシーな募金方法と違い、お金の使われ方がダイレクトに分かる。支援を受けた学生から直接の感謝の声も聞けるでしょうし、その後の経過も追えます。

 しかも、システムの開発がそれほど難しくありません。これはちょっと考えても面白そうです。

善意で成り立つことを事業化していいのか?

 ただここで、「事業とは言っても、そもそも善意で成り立つ行為に手数料を取るのは間違っていないか?」という意見もあるようです。

 しかしこれについては、事業が善意を持った人の存在に依存していることと、事業者がタダでやるというのはまったく別問題で考える必要があります。NPO法人も独立行政法人も、公共性の高い事業をやっていても必要経費はきちんと取ります。民間企業が行う事業ならなおさらで、価格設定も自由なのです。

 また、もしこのサービスの手数料率が高すぎるのであれば、別の起業家が安く参入してくればいいだけの話でしょう。

学生の身元チェックはどこまですべき?

 またもう1つ、「マッチングサイトなら学生の身元をきちんとチェックし、運営会社が保証すべきではないか?」という意見が非常に多かったようです。

 これも私は、特別そんな必要はないと思います。

 「保証している」と言いながら「実は虚偽でした」であれば、「保証してると言っていたな? 保証とは何だ? 倍返ししてくれるのか?」という話に展開していきます。しかし、そもそも保証すると掲げていないなら「ウソも含まれているかも知れない」と思うべき。信じる信じないは自己責任です。

 求人広告、グルメ雑誌、タウン誌など、どんな情報でもウソが書いてある可能性があります。

 またそもそも話で、支援というのは、清廉潔白な人間にしか施さないというものではないでしょう。

 もし「バカだなー、そこは事業として完璧に保証しなきゃダメだろう」と思うのであれば、これも後発の起業家がそれを改善してサービスを立ち上げればいいだけです。

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