裏メニュー「周遊きっぷ」のメリットとデメリット杉山淳一の時事日想(1/4 ページ)

» 2012年07月20日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 「青春18きっぷ」が発売された(関連記事)。夏の汽車旅シーズンがやってきた。正式発表が遅れて不安に拍車をかけていたが、フタを開けてみれば、新たに「青森―新青森で特急列車の自由席に乗車可能」という特例が追加となった。青春18きっぷは前向きに改訂されている。ありがたいことである。

 ところで、青春18きっぷよりも私が心配しているきっぷがある。「周遊きっぷ」だ。おそらく若い人の多くは知らないだろう。30代以上の方なら「ワイド周遊券」や「ミニ周遊券」の名を覚えているかもしれない。特定地域の国鉄に乗り放題というきっぷで、青春18きっぷが登場する以前は、若者の鉄道旅行の定番といえば「ワイド周遊券」や「ミニ周遊券」だった。それがいま「周遊きっぷ」に名前を変えて残っている。

 青春18きっぷはポスターがあり、雑誌などでも紹介されている。それに比べると周遊きっぷは“裏メニュー”と言っていいだろう。表には表示されていないが、窓口に行けば確かにある。これを知っていれば旅の「通」だともいえる。

 ただし、風前の灯というべき状況だ。発売当初に67もあった指定地域が、現在は13しかない。駅でポスターやチラシを見かけないし、JR各社のWebサイトでも紹介されていない。唯一の広報手段は書店で販売中の時刻表くらいだ。これはもう「存亡の危機」と言っていい。

周遊きっぷ九州ゾーンのきっぷ。「ゆき券」「かえり券」「ゾーン券」往路に乗った寝台特急富士の「特急券・B寝台券」は別料金
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