早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。
『宣伝会議』の座談会記事で、ミツカンの安田氏(広告、PR、商品ブランドサイト担当)は次のように述べています。
「これまで小さな機能の差を訴求しすぎていたのではないかと考えていました。(消費者は)なんとなく好きだとか親近感があるといったシンプルな理由で購入を決めているのではないか、と」
「特に、食品の場合、競合商品との差は好みの問題になってくるのに、企業側が理屈をこねくり回していたのではないかと」
先日の記事「私たちは“感情”で決めて“理性”で言いわけする」で説明したように、単価が安い食品などではじっくりと比較検討してブランドが選択されることは少ないのです。多くは「何となく好き」とか「馴染んでいるから」といった感情的な理由で直感的に選択されています。
従って、対消費者コミュニケーションにおいては、まず感情を揺さぶり、端的に言えば「いいな!」と感じてもらえる感情訴求を重視する必要があります。
ところが、安田氏の発言を読むと、日常生活で利用される食品を作っているメーカーでさえ、機能や性能、品質などの規格競争に陥りがちであり、対消費者コミュニケーションにおいても、理性に訴える(=理性訴求)に重点を置きすぎてしまう傾向があることがうかがえます。
実際、ロッテにおいても「最近の商品の傾向として、『お口のエチケット』や『ミント味』など、商品の品質の良さや機能性価値を追求するものが多く、自分の感性にあった商品を衝動的に購入する傾向のある若年層には魅力的に映っていないのではないか?」(宮下慎氏、ロッテ・ブランド担当ガム企画室主査)という仮説にたどり着いたとのこと。
そこで、刺激が強く、爽快感のあるガム、ZEUSの新発売キャンペーンでは、20代男性をターゲットに「感性的に買って体験するという消費行動」を起こすことを狙った感情訴求が主体のコミュニケーションが展開されたのです。
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