新幹線も長距離だが、JR東日本は自社内で完結する。東海道・山陽新幹線はJR東海とJR西日本で協業するものの、自社路線内重視のダイヤになっている。九州新幹線と山陽新幹線も同様だ。しかも九州新幹線と山陽新幹線の場合、直通列車の新幹線特急料金はそれぞれの区間の「合算」である。ちゃんと自社エリアの利益を確保している。
しかし、長距離鉄道旅行の衰退は、JRが自社内重視の施策に転じたからではない。国内航空の自由化、高速バスの自由化によって運命づけられていた。JRグループはこの時代の流れに対応し、民間企業として利益を追求しているのに過ぎないのだ。
利用する側の私だって、周遊きっぷより使いやすいきっぷがあれば、そちらを使う。東京から遠い地方の鉄道に乗りに行くために、限られた時間と予算で考えれば、高速バスや格安航空会社を使うだろう。周遊きっぷの衰退は寂しいが、それは「周遊」という文字に想起される郷愁だけかもしれない。
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向谷実氏が考える鉄道と音楽(前編)――発車メロディ3つのオキテCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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