コラム
» 2012年07月31日 12時00分 UPDATE

窪田順生の時事日想:オリンピックの制服デザイナーが語る、ハンカチへの想い (2/3)

[窪田順生,Business Media 誠]

デザイナーが名乗りをあげないワケ

 「社内の部署の人間ではあるんですが……ちょっとこちらではお答えできません。JOCさんに問い合わせてもらえますか」

 なんだか釈然としないながらも言われるままに、JOC(日本オリンピック委員会)にも問い合わせたが、「(デザイナーは)公表していません」とのこと。つまり、ナナシノゴンベエがデザインしたものが、ラルフ・ローレンやらフェラガモと一緒に世界の檜舞台に並んでいるというわけだ。

 アシックスの代表水着は開発者がいろいろお話をしてくれたのに(関連記事)、そういうものなのかしらと服飾業界の方たちに尋ねてみたら、こんな答えが返ってきた。

 「それは高島屋のデザイナーじゃないからだよ。百貨店にはそもそもデザイナーはいないので、OEM企業(他社ブランドの製品を製造する企業)につくらせたものを独自ブランドとして売る。どこかのデザイナーにデザイン画を出させて高島屋ということでコンペに出したんでしょう。よくあることだよ」

 確かに、そういう話は企画コンペなんかでは珍しくない。フリーや企画会社が制作して、コンペには世間的に名の知れた大企業の名義で提出する。私自身も経験はある。

 とはいえ、せっかくなのでぜひお話をうかがいたいと、あちこちで聞き回っていると、業界筋から該当する人物が浮かび上がってきた。株式会社LINKの石澤宏治氏。本人に問い合わせると、高島屋からの依頼で、制服をデザインをしたことを認めた。名乗りをあげないのは、これを「実績」として発表したら、オリンピックライセンスの問題で、莫大な使用料が発生するからだという。

 石澤氏は語る。

 「オリンピックはスポーツの祭典であってファッションの場ではありません。だから、私としては別に名前が出るとかでないのというのはどうでもいいんです。ただ、残念なのはこのデザインで本当に伝えたかったメッセージがまったく伝えられていないということです」

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