「高齢者=ネット使えない人」ってホントですか?(2/2 ページ)

» 2012年08月10日 08時00分 公開
[竹林篤実,INSIGHT NOW!]
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今どき60代はネットをばんばん使う

 このサービスで最も恩恵を受けるのは誰だろうか。毎日の買い物が面倒な人たちである。子育て主婦やワーキングママ、さらにはリタイアした団塊世代の人たちも有望なターゲットとなるだろう。……という話をすると、次のように反論されることがよくある。

 「主婦層は分かるとしても、60代の人がネットを使うでしょうか?」

 実は今どきの60代は、結構ネットに慣れている。引退するまでの何年か、会社で仕事をするためにPCを使わされている。だから決して好きではないかもしれないが、それなりには使える。電通総研の調査によれば大都市圏でのネット利用率は60代70.2%、70代26.3%になるという。

 彼らにとってiPadは実に相性がいい端末だ。ケータイでは画面が小さいために見づらいけれど、iPadなら見やすい。PCはキーボードを使うのが面倒だが、iPadなら直感的に操作できる。子どもが喜ぶiPadは、お年寄りも喜ぶデバイスなのだ。

10年後の60代はどうなる?

 マーケティングのPEST※を考えるときに、最も重要なのは時間軸を意識することだ。5年先、10年先をどう読むか。未来を予測するのは、決して簡単なことではない。けれども、ほぼ確定している未来もある。人口推移である。

※PEST……マーケティングを考える時に重要なマクロ環境要因。Political:政治的要因、Economical:経済的要因、Social:社会的要因、Technical:技術的要因。

 10年後、60歳になる人が何人いるかは、現時点でほぼ分かっている。今、50歳の人たちが、10年後に60歳となるわけだ。ということは、10年後の60歳マーケットがどのようになるかは、今の50代を見れば予想がつくだろう。

 そう考えればGMS、いわゆるスーパーマーケットが、今後どう転換すべきかも見えてくるのではないか。インターネットがさらに高速化し、使いやすいデバイスがより進化した上で、ネットで買物をするのが当たり前の人たちが、消費者の大多数を占める時、流通はどのような姿になるのか。

 それこそ、地球上にある「AからZまで」の品物すべてを揃える企業が、唯一自社開発した携帯端末を使ってやろうとしていること、ではないだろうか。(竹林篤実)

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