クルマを国道45号線に向ける。すると、車線規制がかかり、3分程度の停車を強いられた。国道脇に目を転じると、村の瓦礫を木材やコンクリ片などに選別する作業場が見えた。ここに出入りする大型ダンプカーのために、通行を規制していたのだ。
かつて当欄のルポで接した石巻の市民の声が頭の中をよぎる。震災後半年程度たったとき、石巻の友人たちと居酒屋で飲んだときのことだ。「瓦礫をみると、否応なくあの日を思い出す。もう見たくない」――。
野田村では、現地の住民も瓦礫の選別作業に従事していた。彼らがどのような心境なのか。考えを巡らせているうちに、規制が解かれた。
国道45号線をさらに南下する。濃霧の中に、敷設されたばかりの線路が見える。その先には、薄っすらと松の木の影もある。
沿岸各地には、防風林として数多くの松が植林された場所がある。有名な岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」のようにメディアに取り上げられた木もある。一方、眼前の三本松はほとんど取り上げられることがなかった。海が近いため、強風に煽られ、どこか寂しげな印象が強い。
2〜3分走ると、濃霧がさらに酷くなる。路肩に停車してカーナビを見る。現在位置をクローズアップすると、違和感があった。
本来ならば、停車した場所には地元の石材店があるはずなのだ。だが、それらしい建物はない。クルマを降りてみると、道路際に看板が立っていた。
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