この瞬間、頭を殴られたような感覚に陥った。被災地取材から遠ざかっていたため、感覚が鈍っていたとしか言い様がない。
自分が立っている海からほど近いこの場所は、津波に直撃されたのだ。目を凝らすと、区画の隅に石材が放置されていた。あの日、流されずに残ったものか。はたまた、店のスタッフが再建のために持ち込んだものかは判然としなかった。
自家用車のカーナビソフトがいつの時点の地図をインストールしているのかは分からない。だが、この時ほど、カーナビが憎らしいと思ったことはない。
繰り返しになるが、東北沿岸の被災地の交通の便は急速に回復している。観光地を訪れたあと、ほんの数時間の寄り道で、過酷な現実が残されていることを理解できる。ボランティアに行くべし、という主旨ではない。被災地の幹線国道や主要道路の脇には、道の駅や仮設の商店街が数多くある。
店を訪れ、地元の名産品に触れてみる。あるいは買ってみる。生活の場を奪われた人々がそこに集っている。秋の行楽シーズンに、わずかな寄り道を強く勧める。
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