MLBがジャパンマネーを巻き上げてまで開催に心血を注ぎ込むWBC、日本同様に米国内でも大きく盛り上がっているのだろうか――。答えは「NO」である。開催時期の3月はメジャー各球団のオープン戦が行われている真っ只中。主に米スポーツ専門局「ESPN」で全米中継されるWBCの試合は米国代表がらみのカードでも視聴率は驚くほどに低い。
実際にWBCが米国内で、まったく注目されていない事実を物語る面白い数字がある。全米で発行部数2位を誇る大衆紙「USAトゥデイ」が第2回大会終了直後の2009年4月中旬に「あなたは『WBC』を知っているか?」と題した読者アンケートを行ったところ、実に92%もの人が「知らない」と答えた。同紙は当時の紙面上に次のような論評も掲載している。
「米国のスポーツファンは『WBC』と聞いても野球の世界大会ではなく、各階級の世界王座を認定するプロボクシング組織を連想する人のほうが圧倒的に多い」
こんな話もある。ニューヨーク在住のある日本人が、第2回WBCが開催されていた当時、準決勝の日本対米国戦の中継を見ようとマンハッタンにあるスポーツバーに入った。自国の威信をかけた戦いに誰もが夢中になっているかと思いきや入店した途端、その日本人は「面食らってしまった」そうだ。
店内の大型スクリーンに映し出されていたのは、何と同じ時期に開催されていた全米大学野球選手権のテレビ中継。しかも録画だ。多くの客がWBCそっちのけでリアルタイムでないアマチュア野球の試合に釘付けとなり、ビール片手にワーワーと大騒ぎしていたのである。
しかも、その日本人は大型スクリーンを指差しながら店のオーナーに「WBC(を見ないの)?」と問いかけたら「ヘイ、アルファベットっていうのは『ABC』なんだ。この国で生活したいのならば、もっとしっかり勉強したほうがいいぞ!」と真顔で説教されてしまったというからシャレにもなっていない。
「ほとんどの米国人はWBCという大会そのものを知らない。ちょうど同時期にレギュラーシーズンを前にしたメジャー各球団のオープン戦が行われているが、完全にWBCはその陰に隠れてしまっている」(米メディア関係者)
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