世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。
9月4日、国際テロ組織アルカイダの最高指導者だったウサマ・ビンラディンの殺害作戦に参加した米海軍の特殊部隊シールズ(SEALs)の隊員が、その作戦の内容を暴露する本『ノー・イージーデイ』を出版した。著者は身元が割れないように、マーク・オーエンというペンネームを使っている。
オーエンは出版に際して唯一応じた米テレビ局CBSのインタビューに(参照リンク)、「これは米国の作戦の歴史で最も重要なものだ。正しく語られるべきだ」と考えて、本の出版を決めたと語っている。
CBSの報道番組「60ミニッツ」が行ったインタビューが非常に興味深いものだったのは、その内容だけではない。というのも、まずインタビューに応じている著者は、特殊メークで本人だと特定されないようにしていた。
日本の報道番組のように、米国でも顔にぼかしを入れたり、逆光で顔を真っ黒にしてしまう、というケースもある。オーエンのように特殊メークで顔を本人と分からなくする手法は、カネもかかれば、時間もかかる。かつて「60ミニッツ」でもぼかしなどを行っていたこともあるが、同番組のプロデューサーのヘンリー・シュースターはこう語った。「60ミニッツのインタビューの本質は、(インタビューを受ける人の)目だからだ……(目が見えなければ)インタビューの本質を失ってしまう」。つまり、ぼかしなどの手法はできる限り使わない、と言っているのだ。
後世まで残る、こうした歴史的作戦を自らの「目」で目撃した証人のインタビューで顔にぼかしが入っていると、確かに不適切のようにも感じる。その「目」だけでしか語れないこともある。できる限り本人がしゃべっている印象を残すには、こうした手法が現時点では最も効果的だと考えたのだろう。
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