→第1回 なぜ飯島愛の公式ブログはちゃんと管理されているのか?
→第2回 死んだら発動する“お別れサービス”は何年先まで保証する?
→第3回 Twitter社に届いた「亡くなられたユーザーに関するご連絡」、この半年で世界計0件
→第4回 死後にHDDデータを消去するソフト、愛用者は5〜10万人!?
→第5回 インターネットを墓場に持ち込むと、望まないものだけ地上に戻ってくる?
→第6回 本記事
無料のブログサービスやSNSなどの場合、利用中の会員が死亡しても、自発的に特別な処置をとるサービス事業者は今のところ少数だ。第1回と第3回で伝えた通り、遺族などから連絡がなければ、その痕跡は生前と同じようにネットに存在し続ける可能性が高い。では、定期的に料金の支払いが発生する定額制有料サービスの場合はどうだろうか。
定額制サービスの支払いには、預金口座やクレジットカードなどからの自動引き落としがよく使われるが、本人が亡くなると間もなく口座は凍結されてしまう。連動してクレジットカードも使えない状況になる。手動振り込みやネット通貨などを使った支払いを選んでいる場合でも、本人と口座という原動力が絶たれるので結果は同じ。つまり、無料サービスのように「本人や周囲が困らないなら生前通りで」というわけにはいかないのだ。
とはいえ、口座凍結自体は当人の死亡以外にも起こりえるため、その現象のみで会員の死を推し量るのは難しい。実際、定額制サービスを提供する側が会員の死を知るのは、ほとんどの場合、遺族や関係者からの連絡がきっかけだ。
「支払いが滞った際にお電話させていただきますが、その際にご家族のお話から会員さまが亡くなったことが発覚するという場合が多いです」(ドリーム・トレイン・インターネット)、「更新の案内などを確認させていただく際に、遺族の方からご連絡いただくことがほとんどです」(さくらのレンタルサーバ/さくらインターネット)というように、支払いが遅延したり重要な連絡が放置されたりして初めて、普段と異なる連絡手段がとられることになる。また、そこではじめて遺族が契約しているサービスを知ることが多いのは第5回で触れた通りだ。
ただし、定額制でも月額動画やオンラインゲームのようなコンテンツサービスの場合は、そこまで積極的な処置はあまり行わない様子だ。2000年設立のハンゲームジャパン時代からオンラインゲームを提供し続けているNHN Japanは、会員の死亡について事実確認を実施した例は過去にないという。有料動画大手のDMM.comも、定額制サービスはその期間分の料金を先払いし、支払いが滞れば有料プランがストップするという仕組みをとっている。電話で確認したり督促状を発行したりといったアクションをとらないため、家族が契約を知るきっかけにはなりにくい。
現状では、ISPやレンタルサーバーなど、継続性の高い(あるいはライフラインに近い)サービスの契約の方が、死後に表に出てくるパターンが多いようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング