コカ・コーラ ゼロのブランド担当者に聞く“ゼロ戦争”の行方(2/3 ページ)

» 2012年10月05日 17時00分 公開
[Business Media 誠]

5年間で50億本

――コカ・コーラ ゼロの販売数はどのくらいになりますか。

助川 発売後の5年間で、8オンス(約237ミリリットル)換算で50億本です。2007年と2008年合計で10億本くらいで、あとは毎年10億本くらいという感じです。

――事前の想定と比べてどうでしたか。

助川 想定をどこに置くかにもよりますね。コカ・コーラ ゼロを月1回以上飲んでいる人は、コカ・コーラの半分くらいです。私たちはコカ・コーラ ゼロ、将来的にはコカ・コーラと同じくらい飲まれる商品になると思っているので、その半分までいっていると考えれば想定通りだと思います。コカ・コーラ ゼロは今では、日本コカ・コーラの中でも売れている製品の中でトップ10に入ってきます。

 ターゲットは想定通りで、20〜30代男性がメインです。しかし、うれしい想定外だったのは女性からも高い支持を得られたことです。コカ・コーラ ゼロとダイエット コカ・コーラを併飲する人が結構多かったので、それであれば1つに集約しようということで、ダイエット コカ・コーラからコカ・コーラ ゼロに集約していくきっかけにもなりました。

 年配の方もコカ・コーラに比べると多いですね。炭酸飲料カテゴリ全般に言えるのですが、飲用者は40代、50代、60代と年代が上になるに従って減っていくので、絶対的な飲用量としてはやはり20〜30代が多いです。しかし、想定していたよりも40〜50代から評価されました。

――どんなシーンで飲まれているのですか。

助川 軽いのどのリフレッシュが一番大きいです。また外で働く時の気分転換や、意外とお風呂上がりに飲むというのも多いです。あと、食事と一緒というところも出てきますね。

 それと、コカ・コーラというブランドのイメージからなのか、ほかの炭酸飲料に比べると、“活力を入れたい”というシーンでも飲まれていますね。そういう時は透明炭酸のすっきりした味より、コクのある味みたいなものが求められている感じなので。

――発売から5年経ちましたが、どのように振り返っていますか。

助川 単に「健康系の飲料です」というように、とらわれなかったことが一番良かったことかなと思っています。私たちはキャンペーンでもワイルド・ヘルスということをテーマにしていて、ワイルドさとヘルシーさという相反しそうなものをどちらも手に入れることが大事なんだということを伝え、おいしさと健康の両立ということを訴えています。

 ゼロ系の炭酸飲料だと、「キレイ」とか「スリム」とか機能だけを追求するものが多いのですが、私たちとしては「味わいも妥協しちゃダメですよね」と常に提起してきたつもりなので、そこが評価してもらえているポイントなのかなと思います。

――コカ・コーラは最大手ということもあって、製品開発ではど真ん中を狙っていかないといけないということがあると思うのですが、その辺の悩みはありますか。

助川 おっしゃる通り、王道感というのはすごく大事にしていかないといけません。ただ定番化して、多くの人に飲まれるようになると、平凡な印象になって、陳腐化することになりかねません。そこはブランドの持っている価値を落とさないように、キャンペーンなどいろんな場で注意して伝えるようにしていってはいます。

 また、王道だと狭いところには攻めていけないということですが、王道感を持っていても、パッケージなど適切なものを提供すれば、食事に特化したり、気分転換に一息で飲めるようなニーズにも対応したりできます。私たちは王道である分、パッケージのラインアップもたくさんありますし、いろんな場所で売っているので、売り場売り場に合わせてバランス良くメッセージングできるので、ターゲットやシーンなどを絞れなくはないなと私自身は感じています。

 逆に狭いところから入ってきた製品というのは、そこ以上に広げることはできない場合もあると思うので、そういう意味ではやり方次第でいくらでも伸ばせるというところで強みなのかなと思っています。

 1つの例としては、去年、明治さんと組んで、スーパーの売り場でコカ・コーラ ゼロとスナックの相性みたいなものを訴求しました。お菓子はどうしてもカロリーを気にする人が多いのですが、コカ・コーラ ゼロと一緒に食べれば、お菓子のおいしさも飲料のおいしさも我慢や妥協をしないでいいということで。大型スーパーではそういうアプローチを展開しました。その一環で、明治さんにコーラの味に合う「カール コクうまバーベキュー味」を開発していただいて6月26日に発売されました。

カール コクうまバーベキュー味

――コカ・コーラ ゼロはもともと2005年に米国で発売されたということですが、ほかの国でも日本と同じくらい売れているのですか。

助川 日本は世界の中でコカ・コーラ ゼロがより売れている方ですね。日本はコカ・コーラの売り上げだとそこまで上位にくることはないのです 。缶コーヒーやお茶、ミネラルウオーターなど日本ほど飲料のバラエティのある国というのも少ないので。ただ、コカ・コーラ ゼロは、世界の中でも上位に入っているんです。高齢化社会というところで、成熟した国になっていることもその要因の1つだと思います。

 コカ・コーラ ゼロの売れ行きについては、今後ほかの国も高齢化していくので、日本のケースは結構注目されています。実際に日本で作ったキャンペーンがアジアで展開されたりします。

 また、コカ・コーラ ゼロのカフェインフリーの製品は日本とフランスだけで出しているのですが、「この製品の情報を教えてほしい」とアジアの国々などから質問があります。

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