米国映画祭でも受賞、ロンドンで映像制作会社を起業した日本人世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/2 ページ)

» 2012年10月30日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト
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英国生活の魅力は

――海外(英国)で働くこと、生活することの魅力を教えて下さい。

長渕 やはり世界の最先端の流行に常に触れられることです。ロンドンは美術館などのアート施設も充実していますので、最新のアートをいつもすぐ生身で体感できるのはうれしいですね。ちょっとした小道で行われている小さな展覧会でも、すばらしいアイデアに出会うことが少なくありません。

 そしてもう1つ、自分の中ではとても大きな収穫だったのですが、海外に出て初めて、いつも身近にあったものの大切さに気付き、心から感謝できるようになりました。

 人によって見えてくるものは違うかもしれませんが、新しい視点から自分を見つめ直すことができるというのは海外で生活する大きな魅力の1つなのではないかと思います。

――今後の予定や将来の夢(目標)を教えてください。

長渕 最初の拠点ロンドンから始まり、欧州から東京、今は遠くハリウッドまでつながったセブンシャッフルズの持つネットワークを今後さらに拡大し、世界中のクリエイターを巻き込んで純度の高いクリエイティブで構成されたユートピアを築くことです。

 クリエイティブのユートピアとは、クリエイターが実力を出し切れる公平な競争、制作ができる環境で、このような環境こそが最も優れたコンテンツを生み出すと私たちは考えています。

 そして優れたコンテンツを世に送り出すことこそが人々に大きな影響を与える「メディア」に携わる人間としての責任なのではないかと私は思っています。

 「作品に込められたメッセージの質によっては社会問題も改善していける」というように、結果的に作品が良い影響を社会に与えたというのではなく、そこを着地点と定めプロジェクトをスタートさせる、そのようなことを最近になって考えるようになりました。

 新聞に目を通し、負のニュースから発足されるプロジェクト、改善に導くコンセプト、同じ考えを持つ仲間で作り上げる組織。現在進行しているプロジェクトの1つはまさにこの形で動いています。

 社名もポーカーでカードを配る際、 最も公平な振り分けになるように、カードを7回切ると言われていることからセブンシャッフルズとなりました。

Asian Film Festival of Dallas 2012にて

――最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。

長渕 2002年のFriendsterの登場で本格的に普及したSNS、そしてソーシャルアセットの重要さが問われるこんな現代でこそ、本物の人と人とのコミュニケーションを大切にして下さい。

 私も同じ業界の方々はもちろんですが、メーカー、商社、金融の第一線で活躍する私たち世代の方々から一線を退かれた会長の方々まで、幅広くざっくばらんにお話しできる場を進んで設けています。

 決して机上論、お酒の席での話だけで終わらせず、そこから得た物を何と、どう絡めてリアルな導線を引くかというビジョンを常に頭の中で思い描いておくことが、プロジェクト発足への一番の近道だと思っています。

 本物のコミュニケーションの中には決してオンラインでは得られない、生身の対話から生まれるアイデアや情報など、限りない可能性が詰まっていると私は思っています。

 多くの人に出会って、色々な場所へ行き、さまざまな経験をすべて糧にして頑張って下さい。そしてたった一度の人生、心ゆくまで楽しんで下さい!

チャレンジ精神の塊

 長渕さんは中学校卒業の時点で、「海外に出ていきたい」という思いがすでにあったといいます。そして実際に海外に飛び出し、自分の意志でカナダから英国へ。そして今ではロンドンで起業し、世界を飛び回る。 まさにチャレンジ精神の塊のような人なのだと思いました。

 英国生活も長く、現地にも根付いたネットワークを持つ長渕さんだからこそ、競争の激しいクリエイティブの世界でも仕事をつかみ、実績を重ねていけるのだと思います。

 セブンシャッフルズの制作物を長渕さんに見せてもらいましたが、その制作物を紹介する時の長渕さんは笑顔で、とても自信にあふれているようでした。その笑顔と、笑顔の裏にある努力と挑戦が生み出したのが今回の受賞作品だったのかもしれません。今後もそういった作品を世の中に生み出し続けていくのでしょう。

 まだまだ海外拠点を股にかけて活動する若い日本人が少ない中、長渕さんの今後に要注目です。

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