警備+○○で、ALSOKのビジネスが注目されている新連載・儲かっている企業にはワケがある(6/6 ページ)

» 2012年10月31日 08時02分 公開
[渡辺聡、佐々木靖人,Business Media 誠]
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競争力のあるサービス

 ALSOKとしても一個一個の輸送を警備するよりも、巡回ルートや回収サイクルを最適化することで全体の運用コストを下げる余地が生まれます。下げたコストはマージンの源泉にするもよし、提供価格を下げてさらに広いお客さんの利用を促すもよし。ALSOKとお客さん、双方にメリットがあるので、将来の事業の柱になるかもしれません。

 大規模会議などのイベント系では、プロジェクトが終われば仕事がなくなってしまう不安定性の高い側面があります。もちろん、中長期のサービスパッケージを設計して需要の安定化を促す努力はしていますが、つい先日開催されたIMFの年次総会のようなものはどうしようもありません。規模にしても質にしてもトップクラスの要人警護だけに、その瞬間しか人員がいらないから学生バイトを募集して適当に頭数だけ合わせればなんとかなるだろう、というわけにはいきません。訓練されたスタッフを相応に抱えておく必要があります。

 需要の不安定さに対してプロスタッフの人件費がかさみがちになるため、経営を安定化させるためには、月次でコツコツ稼げる商売とうまく組み合わせるのが良いということになります。入金機オンラインシステムは、機器の設置など初期の準備さえ済ませてしまえば、スタートしてからは日々ちゃりんちゃりん入ってくるストック型のビジネスです。また、単に金銭管理機器を売るだけの人では真似のできない警備とセキュリティという付帯サービスが組み合わさっているため競合の参入も起きにくくなっています。

 このように、単機能サービスだったものを何かと組み合わせて、あるいは付帯サービスを組み合わせてなんらかのソリューションパッケージ化をするのはビジネスの手法としてよくあります。お客さん側からもサービスの一括調達が可能になれば、事務や契約管理の手間が落とせることで、価格はそう変わらなくてもメリットがあります。入金機オンラインシステムの場合は、単純な警備やセキュリティでは達成しづらかった、バックオフィス業務のアウトソーシングと本業業務への集中というビジネスメリットを提供できていることからサービスモデル設計としては、ひとひねり加えた実に作りのうまい“一品”となっています。

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