土肥:「綾鷹」を最も買っているのが、30〜40代の男性というのは意外でした。女性じゃないのかな? と思っていましたので。
薄井:男性は外に出て仕事をすることが多いので、外で飲料を買う機会が多いですよね。なのでコンビニや自販機などで、緑茶を買う人が多いのだと思います。マーケティングの視点でいえば「男性層をどのようすれば獲得できるのか」。これがキモになってきます。
ただ家庭内の決定権は女性……つまり奥さんになります。奥さんにもどれだけ「綾鷹」を選択していただくか、これもポイントになってきますね。
土肥:働く30〜40代の男性をメインターゲットにされていますが、この層に「『綾鷹』を買いたい」と思ってもらうのに、どのような工夫をされているのでしょうか?
薄井:女性に比べて、男性はやや想像力が弱いのかもしれません。ドイさんは冒頭にこのように言われていましたよね。「『にごり』と聞いても、はて? 何だろう? と思う人もいるでしょうね」と。ドイさんのような方が多く、男性には具体的な味を伝えていかなければいけません。「『にごり』が自分にとってどんないいことをしてくれるのか」「どんな味わいを提供してくれるのか」といったことを。
そこで「急須でいれたような味わい」に変更して、イメージをしやすくしました。また製品名を隠して飲み比べをしてもらったりして、「綾鷹」をまだ飲んだことがない人にアプローチしていきました。
一方の女性は「にごり」と聞いて、「こんな味かな」と想像するのが上手ですね。たぶん家では自分でお茶をいれているので、想像ができるのだと思います。
土肥:なるほど。このほか男性に買ってもらうために、なにかされていることはありますか?
薄井:男性はウンチクを好む人が多いですよね。「綾鷹」の開発に協力してくださったのは、京都府宇治市にある老舗茶舗「上林春松本店(かんばやししゅんしょうほんてん)」さん。上林春松本店さんは徳川家康や豊臣秀吉らともゆかりが深く、宇治の茶師として450年もの歴史があります。長い歴史がある上林春松本店さんの「合組(ごうぐみ:茶葉の特徴を考慮して、おいしい茶葉の組み合わせを生み出すこと)」という技術で、急須でいれたような味わいを実現させることができました。
このように商品の開発秘話や歴史を紹介することで、「なるほど。そうしたこだわりがあるのか」「そーいうことであれば、一度飲んでみるか」といった人が増えてきましたね。
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