90年代から空洞化は言われているけど……なぜ若手が育っているのか?アニメビジネスの今・アニメ空洞化論(3/5 ページ)

» 2012年11月06日 08時00分 公開
[増田弘道,Business Media 誠]

アニメ企業での人材育成の実態

 日本のアニメ業界における人材育成の実態については、経済産業省の「平成22年アニメ産業コア人材育成事業」で、日本動画協会がアニメ制作企業などにアンケートを送り、その状況を調べている。調査対象企業395社に対して、有効回答数が161社と回答率は40.8%だったが、ある程度の信頼性はあると思われる。

 人材育成の状況に入る前に、アニメ制作企業の職制と、その人数分布を簡単に紹介したい。

 次表はアンケートに基づいた、職制の人数順データである。制作が最も多く、原画、動画と続くが、原画と動画をアニメーターとくくれば一番人数が多くなる。このアンケートでは日本の主要なスタジオを網羅しているので、アニメ企業全体としてもこの傾向は変わらないだろう。ただ、アニメスタジオに属していないフリーの人数は原画が一番多いので、業界全体として考えればアニメーターの比率はもっと高まるだろう。

アニメ企業の職制別人数データ

順位 職制 人数 社数 平均 説明
1 制作 899 135 6.7 プロデューサー、制作デスク、制作進行のプロデュース部門
2 原画 752 134 5.6 レイアウト、原画、キャラクターデザインなどを担当する部門
3 動画 502 134 3.7 動画の部門。原画への登竜門
4 美術・背景 497 134 3.7 美術、背景部門
5 撮影 386 134 2.9 コンピュータによる撮影部門
6 仕上げ 385 133 2.9 色彩設計、彩色部門
6 管理 385 135 2.9 総務、経理、人事などの部門
8 CG 369 134 2.8
9 営業 267 134 2 放送局や代理店などが対象となるテレビ番組営業部門、業務受託など
10 演出 213 134 1.6 監督、演出家などの演出部門
11 版権 59 134 0.4 法務、著作権管理やライセンス部門
12 編集 31 134 0.2
13 特効 24 135 0.2 特殊効果部門
14 文芸 21 135 0.2 作品企画、脚本などを担当する部門

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