ネット関連の仕事を任されたとき、どうすればいい?これからのことがよく分かるコラム(1/2 ページ)

» 2012年11月07日 08時00分 公開
[前田圭一郎,Business Media 誠]

著者プロフィール

前田圭一郎

株式会社リクルートホールディングス、メディアテクノロジーラボ所長

1991年、リクルート入社。ネットワーク技術部門に配属となる。1999年より主にWebサイトのシステム開発プロジェクトを担当し複数のWebサイト立ち上げ・リニュアルを実行。2007年より全社の共通アプリ基盤・アジャイル開発スキームの推進マネージャー。その後、インターネットマーケティング部門にて全社を支援するリスティング・SEO・Web解析・ビッグデータ解析チームの全体マネジメントを実行。2012年4月より、メディアテクノロジーラボ所長としてネットサービスのR&Dを実行。


 PCのホームページ制作から、スマートフォンのアプリ開発など、ネットビジネスで開発するプロダクトの内容は、ものすごいスピードでダイナミックに変わり続けています。例えば、マーケティングでは、ソーシャルメディアの普及によって低コストでの集客が可能になった反面、バイラルマーケティング(低コストで顧客の獲得を図るマーケティング手法)することが必須になりました。またユーザーによる広告クリエイティブやプロダクト品質への評価は一層厳しくなったため、マーケティング自体の難易度は格段に上昇しています。

 起業したばかりの会社に巨額の資金が集まりやすくなったということは、自社開発する側にとっては脅威となる競合が常に増え続けることを意味します。「つくったら終わり」や「お金をかければ儲かる」といった時代は、デジタルメディア開発の現場ではとうの昔に終わっていて、より包括的で大胆なチャレンジが要求される時代になっています。

 このような時代の中で、スマートフォンをはじめ、ネットにまつわる仕事を任されている人が増えてきているのではないでしょうか。そのような人が、競争優位を生み出すためにはどのようにすればいいのか。まずは歴史を振り返ってみましょう。

有名人とソーシャルマーケティングの関係

蜷川実花さん監修による「cameran」

 近年では、まず優秀なエンジニアを囲い込むことに注目が集まりました。テクノロジーの発展により、市場参入に必要な開発コストが年々低下し、プログラムさえ書ければ事業を起こせるようになり、多くのエンジニアが起業するという現象が生まれました。

 次に注目が集まったのがデザイナー。ソーシャルメディアの普及によって、開発コストとプロモーションコストが低下しました。その結果、参入障壁が下がり、流行のジャンルについては類似サービスが大量に生み出される時代になりました。

 そして、サービスの差別化を図るには「デザイン」こそが重要な要素となり、優秀なデザイナーが起業した会社に対して、多額の資金が集まる時代へと突入しています。シリコンバレーでは、起業して成功したデザイナーたちが、 IPO(新規株式公開)や会社の売却で手にした資金をもとに、これから活躍するデザイナーに再投資する動きがあります。

 現在は、単にデザインが優れているだけではなく、差別化をもたらす才能に注目が集まっています。例えば、老舗のSNS「Myspace」のリニューアルを担当しているのは、米国の有名なシンガーソングライター、ジャスティン・ティンバーレイク(グラミー賞とエミー賞を受賞)。Myspaceは音楽関係に強いので、グラミー賞を受賞している一流のミュージシャンがアドバイスをすれば、差別化要素が生まれるのは必至です。

 また、有名人が監修してサービス開発をすることは、ソーシャルマーケティングと非常に相性が良く、プロモーションの効率化にも寄与することができます。私が所長を務めるリクルートのメディアテクノロジーラボでも、フォトグラファーである蜷川実花さん監修による「cameran」というカメラアプリをリリースし、3日で50万ダウンロードを超えるなど大変好評です。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.