今、“ロイヤリティ経営”が注目されるワケ儲かっている企業にはワケがある(3/4 ページ)

» 2012年11月28日 08時00分 公開
[渡辺聡、佐々木靖人,Business Media 誠]

アップルやGEなどもロイヤリティ経営に取り組む

 ロイヤリティ経営を重視する動きは、米系企業がNPS(ネットプロモータースコア)という指標を重視し始めたことから指摘できます。

 日経マーケティングによると、NPSとは「商品/サービスそのものやブランド、企業などに対する顧客のロイヤルティーの指標の1つ。『あなたはそれを友人や同僚にすすめたいと思うか?』という問いに対する答えを、0〜10の11段階で調査。10〜9をプロモーター、8〜7をニュートラル、6以下をデトラクターに分類。プロモーターの比率からデトラクターの比率を差し引いた数値をNPS指標とする」と定義されています。

 これだけだと口コミ評価の指標にしか見えませんが、重視されるのは「NPSは業績の先行説明性が高い」という研究結果が出されているからです。つまり、投資家が知りたい情報の筆頭である「この会社はこれから伸びるのか、それとも駄目になるのか」を端的に示してくれるのがNPSということです。

 最近では、ソフトバンクが米スプリント社の子会社化を発表した際、そのプレゼンテーション資料にNPSの動向が提示されていました。会社の経営権に関わるような重要なイベントで、取引の正当性や妥当性を説明するために使われていることからも、NPSの注目度がうかがえるのではないでしょうか。

 そのプレゼンテーションでは「目先の売上や利益は厳しいが、NPSは順調に改善している。近いうちに業績は回復するものと予想される」といったメッセージが出され、投資家も状況を理解して、安心して投資を継続するといったコミュニケーションが見られました。

出典:ソフトバンク

 このように米系企業の一部で、忠誠度の高い顧客を育成し維持する経営が広まってきています。代表的な採用企業は、デジタルマーケティング事業を営むIMJ社のWebサイトで見られます。アップルやゼネラル・エレクトリック、アメリカン・エキスプレスといった大手グローバル企業も含まれており、小さな会社が物珍しさを狙って取り組んでいるわけではないとお分かりいただけるかと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.