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» 2012年12月19日 12時00分 公開

“遊技機”から“メディア”へ、『ぱちんこAKB48』が示した可能性(3/5 ページ)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

液晶の登場で物語を組み込めるように

藤田 パチンコ業界と一緒だと、何か大きいことができそうだという雰囲気は分かってもらえたと思います。次は、版権ビジネスでどのくらいの金額が動くのかという話です。

 その前にパチンコの歴史を紹介します。パチンコという遊びは昭和初期からあったのですが、当時のパチンコは盤面にクギを打って、穴を開けて、打った玉が穴に1個入ると玉が10個出てくるというようなゲームでした。玉がクギに当たっていろんな動き方をするのを楽しむゲームだったのです。

 そして、次の時代になると、穴のところでパカッと大きく開いて、玉を入りやすくなるようなチューリップという仕掛けができて、人気を博しました。ただ、このころまでは機械式で、電気は一切使っていませんでした。

 それが昭和後期に入ると、機械式で動くものに加えて、電気で動くものが出てきました。単に玉を入れるだけでない、新しい遊びになってきたということです。ただし、このあたりから開発費も高くなってきます。

 そして大きな転機となったのが、液晶画面が使われるようになったことです。今は携帯電話にも液晶は付いているのですが、平成に入ったころの初期のパチンコの液晶画面は3〜4インチくらいのものしかありませんでした。

 しかし、今までは決まった動きしかできなかったところ、ここで初めて物語をパチンコの中に入れられるという画期的な変化が起こりました。今では液晶も3〜4インチというものではなく、20インチのものも使われるようになっています。

 このような歴史を踏まえた上でどんなビジネスになっているのかに戻ると、1機種で数百億円が動くビジネスになっています。業界では「ヒット機種が1機種出れば、ビルが建つ」と言われています。自社ビルを建てるのにどのくらいの金額がかかるかピンと来ないかもしれないですが、数十億円単位の金額がかかります。

 では、どのくらいパチンコ台が売れればヒット機種になるのか。非常に乱暴な言い方ですが、数千台しか出なかった場合、「赤字で大変だ」となります。1〜2万台だと、開発費用はどうにか稼げたけど収支はトントンかなというくらい。「年間300機種くらい出ます」と先ほど言いましたが、大半のものはここまで。ヒット機種と言われるようになるのは5万台くらいからです。

 パチンコ機種開発というビジネスモデルを見ると、ほかのビジネスでも同じですが固定費と変動費があります。固定費は売れても売れなくてもかかる費用で、開発費がそれに当たります。そして、変動費は売れる量に合わせてかかっていく費用です。パチンコやパチスロ機のビジネスでは、固定費の割合が大きくなっています。そのため、開発費を償却するまではリスクが高いのですが、それを超えて売れるようになるとおいしくなるビジネスです。

 今、5万台売れるとヒット機種と言われていて、10万台売れると「よくやった」ということになります。ちなみに15万台売れた場合、1台30万円で売ったとすると450億円の売り上げになります。上場しているメーカーはネットで利益率を調べられますが、パチンコ機器メーカーの利益率は非常に高く、30%を超えるようなところもあります。

 ヒット機種が出て450億円の売り上げがあったとすると、利益率が30%なら、利益は100億円を超えるので、自社ビルが建てられますよね。だから1つ当てると非常に大きいのですが、年間300機種出る中のほとんどは2万台以下というリスクの高いビジネスでもあります。

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